特別稽古後の稽古(抜き付け/陽之裏/込入)

今週は10年に一度の最強寒波で、西日本は大荒れだったようですね。

関東はそれほどではありませんでしたが冷え込んで。

厚手のダウンコートを着込んで出勤しました。

 

体育館にはオオイシさん、サトシさん。

ほどなくカジタさん、ヒカルくん。

 

ヒカルくん、先々週にご自宅で指にケガをされて。

先週はテーピングをして稽古でした。

今週は添え木をされていて。あらまあ。。。

ケガと病気は稽古のチャンスです。

とは言え、くれぐれも無理はなさいませんよう。

骨がずれて固まってしまっては大変です。

 

オオイシさん、ビデオと三脚をお持ちになられて。

ご自分の様子を客観的に観たいとのことでしたので、撮影を許可。

稽古に支障がないよう、固定して定点撮影。

演武を撮影するより、ある意味で参考になるかもしれません。

それにしても、最近のビデオカメラは小さいですね。

手のひらの中にすぽっと収まるくらい。

でも4K画質で25時間連続撮影、360度撮影も可能とか。

居合と剣術と柔術の合間にバッテリー交換をしましょう。

 

さて、稽古開始。

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<六尺棒>

 

○棒回し

 準備運動がてら、軽く棒回し。

 腰を落として、ゆっくりスムーズに回転しましょう。

 棒を回すというよりは、棒が回るのに連れる。

 棒の邪魔をしないように。

 中心だけキープ。必要最小限の力で。

 あとは重心を移動するだけ。

 水平平行に進んで退きましょう。

 体重の移動を棒に乗せるだけです。

 

○六尺棒表

 向かい合って素振り、二人一組で棒合。

 

 初心者の癖は皆さん同じようですね。

 打つときに後ろにのけぞり、突くときにのけぞり。

 不思議ですね。

 前に乗った方が強いのは自明だろうに。。。

 

 重くて長い棒を腕の力で振り回し。

 それを止めるためにカウンターバランスでのけぞる。

 打つのが目的ではなく、止めるのが目的の動き。

 見かけはすごいけれど、実際の威力は?

 剣でも同じ現象が見られますね。

 重い居合刀を腕力で遠心力で振り回す。

 柄を握り締めて止め、顎は引いて胸はのけぞる。

 貫汪館の求める動きとは正反対ですね。

 

 体重は常に中心。力は入れず。ふわりと留まる。

 重さを遣って下ろし、留まるのに任せる。

 そけい部を弛めて、肚で動くことでしょう。

 似て非なる動きで誤魔化していてはいけない。

 求めましょう。

 

 六尺棒を稽古するというよりは。

 自分の稽古の進み具合を確認する。

 そんな感じです。

 

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<無双神伝英信流抜刀兵法>

 

○礼法&初発刀

 皆でそろって。心を籠めて。

 

○初発刀の抜き付け

 皆で半円になって、鞘手&柄手の確認。

 

 肘は後方に引かれ、手首は前に出すのではなく真上に浮き上がり、指先が鞘に触れる。

 上体が倒れるのに連れて手は前に出て、刀は平に。

 さらに上体が倒れるのに連れて、右手は柄へ。

 鞘を後方に引き、半身になる。

 倒れる瞬間に右足を前に踏み出して、抜き付け。

 

 右手で抜こうとしないこと。

 礼法と同じ動きをすること。

 意識は常に肚。胸や肩に上がらないよう。

 

 足を出して抜き付けるのではなく。

 鞘が払われてから、足が出る。

 上体は前に突っ込むのではなく、ふわりと上へ。

 

 納刀は直線的にならないよう。円く柔らかく。

 柄を握り締めず、必要最小限の力で。

 肩は沈み、肘は墜ちる。

 

 立ち上がりは極めてソフトに。音を立てない。

 

 館長の御指導を忘れることのないように。

 館長の動きを思い出しましょう。

 芸術的でしたね。合理的でとても美しい動き。

 真善美、というやつかと思います。

 

○英信流表の座法&抜き付け

 同じく英信流の座法と抜き付けを稽古。

 

 大森流は初心者向け、英信流表は中級者向け?

 形を習う順番はたしかにそうですね。

 でも英信流を稽古することで、大森流がよりよくわかる。

  横雲の方が初発刀より簡単

 とは館長のお言葉。

  えぇーっ?!

 と思ったのも昔の話。

 稽古が進むにつれて、なるほど確かに!と思ったものです。

 英信流の座法さえできてしまえば、横雲は鞘を引くだけ。

 

 大森流は正座の正対からスタート。

 足はがっちりと床に固定されていて、自由が利かない。

 なので誤魔化しが利かない。

 どちらかというと上級者向けかなあ、なんて思います。

 初発刀は稽古をしても稽古をしてもキリがない。

 

 横雲の稽古を初発刀に還元して。

 初発刀の稽古を他の形にも還元する。

 そして居合の稽古を剣術にも還元して。

 柔術にも還元する。

 そんな稽古をしましょう。

 

○大森流

 各自で稽古。

 

 形を知っている。だからできる。ではなくて。

 ただ形の手順を知っているだけ。にならないよう。

 先の初発刀で稽古した動きを遣いましょう。

 手と足をバラバラにすることなく。

 次の動き、次の動きと先に追うことなく。

 正しい動きを積み重ねていく。

 結果として形になる。

 そういう稽古をしましょう。

 

ヒカルくん、やはり指が痛いと。

体育館は冷えますからね。寒いと指先の痛みは増すことでしょう。

しばらく見学していましたが、先に帰ることに。

お大事にしてください。

 

○初発刀&横雲そろい抜き

 最後に皆で初発刀と横雲を一本ずつそろい抜き。

 いい感じでした

 

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<大石神影流剣術>

 

○陽之裏

 横浜支部長打太刀&カジタさん仕太刀で示範。

 打太刀で元に立って、掛かり稽古方式で稽古。

 勢龍から乱曲まで。

 

勢龍&左沈

 打太刀の表面を避ける動作を区別しましょう。

 張り受けはきっちりと。

 歩み足で追い込んで真っ向。

 

十文字

 試合口と区別を。

 鎬で受けて、張って、喉を突く。詰める。

 

張身

 個人的には一番苦手な手数です。

 とてもシンプル。でも難しい。

 

夜闇

 少し込み入った手数ですが、流れに身を任せましょう。

 頭で考えないこと。自然に動けるはずです。

 

乱曲

 名前通りの激しい手数ですね。

 一つ一つの動作を正確に。基本が問われます。

 

サトシさん

 覚えは早いですね。

 初めて見た手数もすぐにできる。

 でも現代剣道式の動きにならないよう。

 手順ではなく動きを求めましょう。

 

オオイシさん

 覚えは遅いですね。

 

 私も武道を始めたばかりの頃は覚えが悪くて苦労しました。

 でもそのうち早くなって。

  どうして初めて見た動きが一回でできるの?

 と他の人に驚かれるようになりました。

 でも逆に、他の人はどうしてできないのかが不思議でした。

 稽古を始めたばかりの人ならいざ知らず、

 もう何年も稽古をしているような人たちだったからです。

 そして大石神影流を稽古するようになって、また苦労をするようになって。

 試合口ができず、陽之表が覚えられず。。。

 でもそれもそのうちできるようになりました。

 同じ流派なら、同じ原理原則で動いています。

 新しい形/手数でも、新しくはない。同じです。

 流派を稽古するというのはそういうことでしょう。

 

 できないからと同じ形/手数ばかりを繰り返すのではなく。

 違う形/手数、新しい形/手数を稽古して。

 頭と体をほぐしましょう。そして心も。

 

 柔らかくて素直な頭と体と心なら、

 初めて見た形/手数でもすぐにできるはずです。

 女性や子供はそうですね。澄んだ目と心。

 まるで鏡のようです。見たままをそのまま映す。

 水月。武道の極意のひとつですね。

 

 後来習態の容形を除き 本来精妙の恒体に復す

                   直心影流

 

 他流ではありますが、私の好きな言葉です。

 稽古をしましょう。

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<澁川一流柔術>

 

○込入

 カジタさん受けで示範して、三人で回り稽古。

 礼式から巻返まで。マットは敷かず。

 

 受けは大事です。込入に限りませんが。

 受けが正しくないと、正しい稽古ができません。

 手先で取りに行かず、まずきちんと間合いに入る。

 あわてずきちんと襟を取る。

 そして、体全体で押す。

 稽古ですから、あわてず正確に動きましょう。

 

 捕りは、受けをきちんと感じることです。

 あわてて自分勝手に動くのではなく。

 受けが押してくる力を感じること。

 早くなく遅くなく、同時に動く。

 強すぎず、弱すぎず。大きすぎず、小さすぎず。

 いつもと同じですね。

 頭で考えてはいけない。無心に動くこと。

 まっすぐに下がっては押し込まれてしまいます。

 体を開いて、受けの力を流すことです。

 そしてそれを返す。

 直線的ではなく、円の動き。

 納刀の動きとそっくりですね。ふふ

 

オオイシさん

 とてもお上手でした。

 履形や吉掛であれほど苦労していたのがウソのよう。

 

 受けが密着して、手が胸に固定されているのが良いのでしょう。

 自由度が低いから、動きが制限されているから、悩まなくて良い。

 立派な体格も功を奏して、動くだけで相手を崩せる。

 この動きを履形や吉掛にフィードバックしましょう。

 履形や吉掛だけを稽古していては、得られなかったことかと思います。

 先の形を稽古することの効用ですね。

 形をコレクションすることが目的ではなく。

 多くの形を稽古することで、共通のひとつを求める。

 そういうことかと思います。

 

カジタさん、サトシさん

 翻ってお二人、苦労されていました。

 形の手順はすぐに覚えられる。見てできる。

 でも体格の良いオオイシさんを相手に一苦労。

 体格の差は歴然です。

 腕も太いから、取り返すのも大変。。。

 

 でも、相手の腕を取り返そうなどとせず。

 相手の腕を通して、相手の体に技を掛ける。

 そう考えましょう。

 相手が襟から手を離してくれなくても、こちらは別に困りはしない。

 ただ、受けが受け身を取れずに困るだけ。

 そう考えましょう。

 履形や吉掛のように、手先で誤魔化すことはできません。

 受けの体全体を崩すことです。

 そのためには、捕りと受けがバラバラではいけない。

 自分と相手が一体になることです。

 

体格の異なる三人。それぞれの稽古です。

おもしろいですね。ふふ。。。

 

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20時40分に稽古終了。

合間合間にストーブに当たりながらの稽古でした。

冷え込みは、先週よりは少しマシ?

 

ということで。

先週の館長の特別稽古を受けての稽古でした。

元より、昇段が目的の稽古ではありません。

受審のために課題の形を覚える稽古をする、というのではなく。

合格したからその形はもう卒業、ということでもなく。

常に追求をしましょう。

求めるこころを忘れることのないように。

 

来週も同じような稽古の予定です。

 

 

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