当ての呼吸

外に出るとどんより曇り空。

でもコバヤシさんからはラインなし。

傘は持たずに体育館へ。ふふ

 

校門前でカジタさん合流。

体育館にはコバヤシさん、オオイシさん、サトシさん。

並んでモップがけ。三人はお着替え。

 

サトシさん、今週は角帯をご用意。いいですね。

勝手なことはしない。でも、言われたことはすぐにする。

学ぶ際の心得の基本かと思います。

言われたことはせず、言われてもいないことを許可もなく勝手にやる。

これでは学びようがありません。

帯を前で結んでいらっしゃいましたが、後ろで結べるようにしましょう。

たかが着付け? されど着付け。大事です。

大石神影流木刀用の鞘をお作りしてお持ちしましたが、サイズが合わず。

一本一本、職人さんの手作りなのでサイズがまちまちです。

定寸の鞘をお持ちでしたので、そちらを流用していただきました。

 

ショウタロウくん、到着。

新しい居合刀をご持参。おおっ、マイ居合刀ですね!

お貸ししていた居合刀はお返しいただき。

これからはご自分の居合刀で稽古を。

お子さんは毎年毎年、背が伸びる。

それに合わせて居合刀を買い換えていてはキリがない。

なので、短いものから順番にお貸ししていたのでした。

稽古もどのくらい続くかどうかもわからないですしね。

大事な道具をお貸しするのは、信頼の証でもあります。

誰にでもお貸しするわけではありません。

 

今週は5人との稽古。

ヒカルくんをのぞいてフルメンバー。

横に一列に並ぶと壮観ですね。

 

さて、稽古開始です。

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<無双神伝英信流抜刀兵法>

 

○礼法&座法

 新しい人が入ったときは、基本の再確認の良いチャンスです。

 自分はもうできているなどと思わずに。

 まっさらな気持ちでもう一度確認をしましょう。

 

○歩法&斬撃

 重心が上下左右に振れないように。

 歩幅が大きくなっても、ガクッと腰が落ちることのないように。

 後ろ足の膝が大きく曲がることのないように。

 歩幅が広すぎたり、狭すぎたりしないように。

 前足に乗ったり、後ろ足に乗ったりしないように。

 前傾したり、のけ反ったりしないように。

 ああでもない、こうでもないと歪みを取り除き。

 最後に残った真っ白な空白が、あるべき姿です。

 癖を取り除きましょう。無為自然

 

 刀は、ただ上下するだけです。

 速く振ろう、強く振ろう、大きく振ろうとしないこと。

 手首を使ったり、肘を使ったり、肩を使ったりしないこと。

 すべては肚の回転です。

 お腹が本体。手足は枝葉末節です。

 

 一歩目が一番難しいですね。

 静から動への変化。相転移。

 一番大きなエネルギーが必要です。

 でもだからと言って、えいやっと動いてはいけない。

 じっとしているときに、すでにそのエネルギーを内包していなければいけない。

 静と動を区別しないことです。

 じっとしていても、動いているように。

 動いていても、じっとしているように。

 

○初発刀 そろい抜き

 癖を取り除きましょう。

 純粋、無色透明、無味無臭。無個性に。

 カドのある動き、力感のある動き、メリハリのある動きはいけない。

 ただ、するすると動きましょう。

 

○カジタさん&ショウタロウくん

大森流&英信流表

 お二人で抜いてもらいました。

 

太刀打

・出合&附入、請流&請入、月影&水月刀

 いままでの復習。稽古を積みましょう。

 

・独妙剣

 さて、新しい形です。

 カジタさん、初めてではなし。でも、ぎこちない。

 初めてのショウタロウくん、お上手でした。

 自然にできている感じ。

 あまりあれこれと難しく考えず。

 テキトーに動きましょう。

 かえってその方が上手だったりして。

 

 体の遣い方ができていれば、新しい形もなんということはなし。

 ただ手順を教わってその通り動けば、もうできている。

 それが本来のあるべき姿でしょう。

 形が変わるたびに、一から稽古。

 それは、基礎基本ができていない証拠。

 基礎基本ができていれば、形は簡単。

 でもまあ、実際にはなかなかそうもいかない。

 なので、新しい形を学びながら、基礎基本を追求していく。

 そんな感じでしょうか。

 そうして形をひと通り習ったら、また一本目から稽古。

 その繰り返しです。

 

 形を覚えるのではなく。

 形を通して、稽古をする。

 形を通して、流派の掟を学ぶ。

 形を通して、流派がなにを求めているのか追求する。

 公理公式の再発見。そんな感じでしょうか。

 車輪の再発明でもありますね。

 https://ja.wikipedia.org/wiki/車輪の再発明

 一般には無駄なこと、の意味ですが。

 稽古に関しては、必要なことかもしれません。

 真理鉱山

 

○コバヤシさん 大森流

 独り稽古。少し手直し。

 

虎乱刀

 大森流の集大成の一本ですね。

 正座の大森流にあって、立ったまま抜き納める。

 歩きながら、抜いて斬る。

 

 正しい姿勢。正しい歩法。正しい斬撃。

 ただそれだけです。

 

 お伝えすることはいつもと同じ。皆と同じ。

 目新しいことはなにもなし。

 正しい基礎基本を身に付けましょう。

 自分の未熟さは、形が教えてくれます。

 

○オオイシさん 初発刀から陰陽進退

 独り稽古。少し手直し。

 

陰陽進退

 初発刀の変化、応用ですね。

 これができれば、初発刀ができたということ?

 初発刀ができただけでは、初発刀ができたとは言えない。

 初発刀には、すべてが内包されています。

 初発刀に、すべてを内包させましょう。

 

 張り受けが特徴的ですね。

 左足を引く位置が大事です。

 正しい足踏みができず、正しい張り受けができるわけはなし。

 腕だけ、足だけ。そうではなくて。

 全体で一つです。

 どこかだけを直せば良いというものではなし。

 全身がピタッとはまる場所をさがしましょう。

 まずはその感覚を磨くことですね。

 繰り返し稽古をしましょう。

 

 左足を引くのではなく。体を開くだけ。

 立ち上がるのではなく。足を開くだけ。

 その感覚が必要です。

 

 普段から、手の内についてしつこくお伝えしています。

 ですが、

  陽進刀で横に開いたとき

  張り受けしたとき

 この二つは普段とは違う手の内です。

 手の内は同じだけれど、柄の持ち方が違う。

 数少ない例外の一つです。

 混同しないよう、きちんと覚えましょう。

 違う持ち方を覚えることで、本来の持ち方もよくわかるかもしれません。

 きちんと区別をしましょう。

 

 来週から新しい形をお伝えできればと思います。

 いよいよ、大森流の後半です。

 後半は、最初の一本目が一番難しい。流刀

 前半も、最初の一本目が一番難しい。初発刀

 最初が一番難しい。なんでもそうですよね。

 楽しみですね。ふふ

 

○サトシさん 礼法

 一から再確認。

 先週はできても、今週もできるとは限らず。

 体の中に「かね」ができるように稽古をしましょう。

 

貫汪館館長ブログ<道標>

http://kanoukan.blog78.fc2.com/?q=規矩

 

http://kanoukan.blog78.fc2.com/?q=身の曲尺

 

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<大石神影流剣術>

 

○構え&素振り

 横浜支部長が前で、皆で稽古。

 

 サトシさん、続けて横浜支部長とマンツーマンで稽古。

 

○試合口 コバヤシさん&オオイシさん

 先輩方にお相手をしていただいてから、お二人で稽古。

 

○陽之表 カジタさん&ショウタロウくん

 後輩方のお相手をしていただいてから、お二人で稽古。

 

○演武

試合口

 コバヤシさんとオオイシさん。打太刀と仕太刀

 どちらも大事ですね。

 

コバヤシさん

 うつむいて上目遣いにならないように。

 

オオイシさん

 出るときも下がるときもまっすぐに。

 試合口は、すべての基礎基本です。

 

陽之表

 カジタさん仕太刀、ショウタロウくん打太刀

 

カジタさん

 ショウタロウくんの勢いのある打太刀にも負けずに対応できていますね。

 素晴らしい!

 

 ただ、前足が外を向き気味なのが気になります。

 これはつまり、

  体が正対しているということ

  半身ができていないということ

 ということは、

  大石神影流ではない。

 ということですね。

 

 いくら手数を覚えて、上手に演武ができても仕方なし。

 手数、手順はたしかに大石神影流だけれども。。。

 ということにならないように。

 陽之表、表拾本。大石神影流の表看板です。

 人前で演武して、

  これが大石神影流です!

 と胸を張って言えるように。

 

 基礎基本ができているならば、あとは手数を覚えるだけ。

 でも、なかなかそうはいかない。

 だから、手数を稽古しながら、基礎基本を稽古しましょう。

 けっきょくは基礎基本です。

 基礎基本が一番大事。

 なぜならば、それが基礎基本だから。

 ただのトートロジーですが、真理かと思います。

 

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<澁川一流柔術>

 

○履形

 二人一組で、捕りと受け。

  カジタさん&横浜支部長

  ショウタロウくん&サトシさん

  コバヤシさん&オオイシさん

 

礼式

 捕りは、

  右足を引き、

  右足を出し、

  右足を引き揃え、

  左足を引き跪く。

 受けは、

  右足を出し、

  左足を引く。

 

 足を前後に開いた姿勢は、いずれも同じです。

 体が正対してしまったり、逆に開いてしまったり。

 歩幅が広すぎたり、狭すぎたり。

 前傾したり、のけ反ったり。

 前足に乗ったり、後ろ足に乗ったり。

 そういうことのないようにしましょう。

 姿勢だけ見たならば、どれも区別がつかないよう。

 基礎基本の立ち方です。居合の斬撃とも同じ。

 

 流祖が考案された大事な形です。

 先達が代々伝えてきてくださった大事な形です。

 ゆめゆめおろそかにしないことです。

 

 受けは、決してやられ役ではなし。

 いつでも追撃、連撃、反撃ができるように。

 ただ稽古だから、そうしないだけです。

 

 受けは、捕りの引き立て役です。

 でもこれは決して、演武で派手にやられて見せるという意味ではなくて。

 稽古を通して、捕りの技量を引き上げるような受けをしましょう。

 受けがやられ役を演じてしまうと、捕りは稽古をするほど下手になってしまいます。

  下達する稽古

  上達する稽古

 似ているようで、正反対ですね。

 どちらが良いかは、言わずもがな。もがもが

 

貫汪館館長ブログ<道標>

 固めない

 芯がない

 やられ役ではない

 

負投/裏投/巻返/柔投/返投

 

捻付/腰投/杭止/潜投/切込

 

蹴込/浪人捕/足裏/返り投/返返

 

絞り/掻込/眼潰/呼吸投/蹴投

 

切落/蹴落/組落

 

今週は新しい形を三本お伝えできました。

今までの形も、細かなことを繰り返しお伝え。

 

澁川一流の形には、当ての形がいくつかあります。

当ての形を稽古することで、前の形も上達する。

そんな感覚があります。

なぜこの順番でこの形?という疑問もありますが。

流派によっては、当てだけ別伝ということもありますね。

 

ただ手で当てれば当て、ということではなくて。

手、足、体の三つが一致することが大事。

そして心と身が一致すること。

その手助けをするのが、気合い。大事です。

全身を統一すること。それによって大きな力が出る。

手だけ、足だけではなくて。全身を遣う。

肚から動く。

言葉にすれば、いつも同じ。

やっていることが同じなのだから、当然ですね。

 

眼潰ができれば、裏投もできる。腰投もできる。

呼吸投もできる。

 

切落は、ただ前腕を叩くだけの形。

でも痛いかどうかで、基礎基本ができているかどうかがわかります。

叩けば痛い。そうではなくて。痛さの質ですね。

ただ表面が痛いだけなのか。中まで浸透する痛さか。

痛いなーと思うだけなのか。

腕がしびれてしばらく使えなくなるほどか。

持っている短刀を思わず取り落とすほどなのか。

脱力ができていること。肚で動くこと。

姿勢が正しいこと。基礎基本の集大成です。

 

蹴落も面白いですね。

足を払って倒し、そのまま下に蹴り込み。

いわゆるローキックではなくて。

体重を遣って踏み抜く。

これもいつもの動きです。脱力ができているか。

重心がきちんと落ちているか。その試金石。

裏投などで膝を胸に乗せる。それと同じ感覚です。

相手の腕を掴んだままなので、制御ができて。

自分の体勢も不安定にならない。

蹴り込みも強くなる。

相手の体勢をコントロールすることで、相手の急所をさらけ出すことができる。

足を払った動きがそのまま蹴り込みの動きにつながる。

なんとも合理的な形だなーと思います。

地味にお気に入りの形のひとつです。

倒れている相手に踏み込むのも、当てのひとつです。

 

組落も面白い形のひとつですね。

中段から下段を突く履形の中にあって。

なぜか突然、両手で片手を握って引っ張る形。

そして、捕りは振り払って終わり。

続く形のグループにも出てきますが、

いずれもこのひとつだけ受けの動きが違う。

そして同じように動いて振り払って終わり。

実に面白い。ガリレオ

組落だけ、別伝でひとつのグループでも良いような気もするくらいです。

振りほどくことだけを意識せず。

まずは肘を当てること。

相手が引くのに合わせること。

相手の力を利用しましょう。

タイミングが大事ですね。

これに限らず、すべてはタイミングが大事です。

武道的に表現すれば、呼吸ですね。

 

タイミング、距離、角度、間と間合い、呼吸、、、

これらは履形のすべての形において、

最初の一歩目で稽古していることです。

 

最初の一歩ができずに、続く形ができるわけもなし。

最初に取る手の位置が正しくなくて、形ができるわけもなし。

すべては基礎基本です。

正しく稽古をしましょう。

 

すべては当ての呼吸です。

短いか、長いか。大きいか、小さいか。

その違いだけです。

手先で仕事をしようとせず。

肚から動きましょう。

 

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20時30分を少し過ぎて稽古終了。

 

三人の着替えをお待ちして、体育館をあとに。

稽古の途中から、雨の音が聞こえてきて。

やむかなーと思っていましたが、やみはせず。

 

カジタさん、傘あり。さすが!

ショウタロウくん、傘あり。えらい!

オオイシさん、傘なし。バイクです。気を付けて!

サトシさん、傘なし。あらまあ。

コバヤシさんが傘を二本お持ちくださったので、

一本を途中まで横浜支部長がお借りして、

あとはサトシさんにお貸ししました。

横浜支部長は自宅が近いので、小降りなら問題なし。

 

それにしても、6人中3人が傘なし。

横浜支部は、英国紳士の集まりですね!

 

雨に濡れながら飲むイチゴミルクは格別でした。

美味し!

 

来週も同じような稽古の予定です。

 

 

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