左刀と請入と抗止

毎日が繁忙期の職場のデスクワークで、腰が良くなるわけもなく。

毎日毎日、誤魔化し誤魔化し、良くなったり悪くなったり。

けっきょく、先週の稽古後の袴を畳むことはできず。

一週間、シャンデリアにぶら下げたままでした。

#腰を痛めていると、袴を畳むというのは大変な動作なのです。

それでも、おかげさまで先週よりはだいぶましになりました。

 

いつもどおり学校へ。

校門前でカジタさんハセガワさんと合流。

体育館は、サッカーの団体がガヤガヤと。

落ち着くのを待って中に入ると、コバヤシさんの姿あり。

お一人で準備を終えて、着替えもお済みでした。

いつもありがとうございます。

上の窓を開けて、熱気を開放して。

 

ショウタロウくん、また今日から参加予定でした。

でも直前に熱を出されて、急きょ不参加に。お大事に。

 

テヅカさん、遅れて参加予定(でしたが、けっきょく来られず)。

 

今日も、カジタさんハセガワさんコバヤシさんの三人と稽古です。

 

さて、稽古開始。

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<無双神伝英信流抜刀兵法>

 

○起居、進退、斬撃

 三人並んで稽古。うん、皆さんとてもお上手になられました。

 言うことはいつも同じ。

 あとはもう、ご自分で稽古ができるレベルですね。

 

○大森流&英信流表

 カジタさんハセガワさん二人でそろい抜き。

 途中、気になる点を声掛けして。

 言うことはいつも同じ。自分で直せると良いですね。

 

 さて今回も、鞘木刀で英信流表の想定を確認。

 あえて説明はせず、お二人でやってもらいました。

 カジタさんが相手役、ハセガワさんが相手役。

 それぞれ、違いがあって面白いですね。

 

 もともと、こう来たらこう返す!と定まったものではなし。

 相手はなにをしてくるかわかりません。

 武道は実践です。学校の勉強とは違う。

 一語一義の英単語を覚えたとて、英会話ができるはずもなし。

 固定観念は捨てましょう。

 

○太刀打

 

出合、附入、請流

 お二人で遣方と相手。うん、とてもお上手になられました。

 

 苦労していた請流も見違えて。

 やはり、間を開けるというのも大事なことですね。

 脳は、勝手にバックグラウンド処理で最適化をしてくれます。

 それはもちろん、求める心があればの話ですが。

 

請入(請込)

 さて、四本目。新しい形です。

 請流の変形のような形。

 請流ができれば簡単かと思いきや。。。

 

 手順を追うだけなら、簡単ですよね。請流よりシンプルです。

 でも、正しくできるかは?

 ましてや、実際に遣えるかは?

 

 形にはそれぞれ、稽古の主題、眼目のようなものがあります。

 それは一つの形に一つだったり、二つ以上あったり。

 請入の場合は、途中までは請流と同じ。違うのは最後だけ。

 ということは、途中までは請流で稽古。請入では最後を稽古。

 ということでしょうか。

 それはもちろん、請流がきちんとできていれば、ですね。

 

 ただもちろん、一つの形を完璧にできるというのは難しい話で。

 だから、同じ部分を請流で稽古して、請入でも稽古して。。。

 ということになるのでしょう。

 別の言い方をすれば、ああも遣えるし、こうも遣える。とも。

 違う形がそれぞれに影響を与え合って、上達をする。

 それが、稽古の体系というものかと思います。

 

 力が少しでも入れば、横殴りになってしまいます。

 慌てて急いで間に合わせようとしても、やはり横殴りになる。

 慌てず急がず、いつもどおり力を抜いて。

 刀が動くのに任せましょう。

 剣を振るのではなく。体の変化に剣が連れる。随う。

 正しく動けるようになれば、間に合うようになります。

 間違った動きを稽古していては、いつまでたっても。。。

 今はまだ稽古です。相手は待ってくれますので。

 今のうちに稽古をしましょう。

 

 ところで、請入? それとも請込?

 どうして形名が二つもあるのか。。。

 一つの形に複数の動作があるのとは、ちょうど逆ですね。

 略称と正式名称があるのは、ままあることです。

 でも、それとは違い。

 

 まあ、伝書の誤記載が原因でしょうね。

 手書きの伝書で伝承する古武道ではよくあることです。

 実際の稽古の際にも、形名はあまり気にしたりしないし。

 あれとか、これとか。一本目とか、二本目とか。。。

 では、どちらが正しいのか?

 

 太刀打の二本目は附入です。だから四本目も請入?

 でもだとしたら、請込と誤記載する原因がなくなりますね。

 ということは本来は、請込?

 でも、附入の名称に引っ張られて、請入と誤記載した。。。

 いかにもありそうな感じですね。古武道あるある

#いずれにしろ、伝書の比較研究などではなくただの妄想です。

 

 でも、請込ってなに?

 請け入れるという単語はよく聞きます。

 でも、請け込む?

 あまり聞いたことはありませんね。

 これは古い言い回しのようです。引き受ける、というような意味。

 どちらにしろ、同じような意味でしょう。

 動作の意味するところは、よくわかります。

 

 出合と附入は、二本でひとセット。

 請流と請入は、二本でひとセット。

 よくよく稽古をしましょう。

 

○初発刀

 コバヤシさん、いつもどおりお一人で。

 

 今回は、二尺八寸をお貸ししました。

 うん、いい感じですね。やっぱりこのくらいのバランスが良い。

 抜き納めも問題なし。さすがです。

 

 長い居合刀は、購入に時間が掛かります。

 早くご自分の居合刀が手元に来ると良いですね。

 

○左刀

 いつもどおり、

 はい、右を向いて座って。はい、正面に抜き付けて。

 ・・・とは行かず。

 なんだか、とても苦労をされていました。

 

 体の向きを変えることができない。

 ただ膝を立てるだけのことができない。。。

 一発でできてしまう子供のようには行きません。

 

 コバヤシさん、決して運動神経が悪いとは思いません。

 実際、上達のスピードはとても早い。驚くほどです。

 ただ、あまり運動の経験がおありではないのでしょう。

 大人になってから初めて立ち歩きを覚えたようなものです。

 #マトリックスで初めて覚醒したときみたい?

 

 これもまたすぐにできるようになります。

 逆に、適当に誤魔化しができるほど器用ではないのが良い。

 できないことができないと自覚ができる。

 きっと上達することと思います。

 

 二本目だから簡単ということはなし。

 一本目が極意。

 それなら、二本目も極意でしょう。

 左刀は、初発刀と対になる一本です。

 よくよく稽古をしましょう。

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<大石神影流剣術>

 

○陽之表十本

 三人で打太刀と仕太刀。

 

 皆さん、お上手ですね。でも、武道で上手って?

 演武が上手でも仕方がないですよね。殺陣ではなし。

 形が上手にできるようになって。

 それからが稽古です。

 さて、なにを求めましょうか?

 

 気合を入れても、形の順番や手順を忘れることがないように。

 形名を言われなくても、間違えずにできるように。

 二回、三回と続けて通しても、気が途切れることがないように。

 

 十を十で演武するのではなく。

 ましてや、八を十に見せかけるのでもなく。

 百を十に籠める。千を十に籠める。万を、億を、、、。

 そういう演武ができるよう稽古をしましょう。

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<澁川一流柔術>

 

○履形

 

礼式、負投、裏投、巻返、柔投、返投、捻付、腰投

 先週までの復習。

 皆さん、とてもお上手になられました。

 やはり、繰り返しは大事ですね。

 

 同じことを注意しても、スッと耳に入るようになって。

 やはり、形の手順を追っている間は稽古になりませんね。

 体の中心を遣うこと。手足だけを使うことのないように。

 

抗止

 新しい形です。一回だけやって見せて、さあどうぞ!

 はい、皆さんお上手でした。よく見て取りました。

 まあ、捻付の変化のようなものですしね。

 でもさすがに、完璧にできた人はもちろんおらず。

 

 基本は、捻付の変化。

 その上で、ポイントは二つでしょうか。

 一つは、掌ではなく、手刀で抑えること。転がすように返す。

 もう一つは、極め方。手の返しなど。特徴的ですね。

 

 一回で見て取ることはできなくても、

 言葉による説明を受ければなんとか。

 これが口伝、口授、直伝のありがたさでしょう。

 

 ところで、これも形名。

 抵抗するのを止めるから、抗止?

 でも、柔術ってだいたい抵抗する相手を止めますよね。。。

 それに、読み方は「くえどめ」。

 「こう」じゃなくて「くえ」?

 

 「抗」

  抵抗、反抗、抗議

  意味は、てむかう、あらがう、さからう、、、。

  音読みは、コウ

  訓読みは、あらがう、はりあう、ふせぐ、こばむ

 「くえ」とは読みませんね。。。

 

 似たような字に「杭」があります。手へんじゃなくて、木へん。

  地中に打ち込んで固定する木の棒

  音読みは、コウ

  訓読みは、くい、わたる

 

 「こう」どめが訛って、「くえ」どめになった?

 それよりも、

 「くい」どめが訛って、「くえ」どめになった。

 という方がしっくり来るかなあ。。。個人的には

 

 筆文字だと「木へん」と「手へん」は、とても紛らわしい。。。

 これもよくある誤読、誤記載かな?と思ったりして。

 それに手刀で抑える手。最後は床に押し付けて固定しますね。

 いかにも「杭」って感じがします。

 #これも、伝書の比較研究などではなく、個人の妄想です。

 

皆さん、新しい形もスッとできるようになってきて。

澁川一流の基礎、基本ができてきた。ということでしょうか。

とは言え。

基本の履形三十五本のうち、まだたったの八本です。

このあとには、まだまだたくさんの形が待っています。

しかも応用変化にとどまらず、なんじゃこりゃ?という形も多数。

まだまだ楽しめますよ。ふふ。。。

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定刻をだいぶ過ぎて稽古終了。

 

9月になって多少は涼しくなるかと思いきや、とんでもなし。

残暑に汗ダクダクになって稽古をしました。

しかも、今週は蚊がいたようで。。。

今年は刺されないでいいなあ、なんて思っていたのですが。

今までは暑すぎて蚊も出ず、あるいは風が強くて吹き飛ばされて。

というところだったのでしょうか。来週はどうなるかなあ。。。

 

来週も通常通りの稽古です。

 

 

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