平成29年7月1日(土)、2日(日)の二日間、
本部道場において、渋川一流柔術の講習会が開催されました。
居合と剣術の講習会はよく開催されていますが、
柔術の講習会はめずらしい印象があります。
理由は、一般の方の参加もある講習会だとケガが心配だから。
とお聞きしています。
それでも、4年前の7月には門人のみで一泊二日の合宿を行い、
簡単な手ほどきを受けることができました。
※記念すべき横浜支部の初日記です。とても短い!
また昨年7月には、連休を利用して三日間の講習会が開催されました。
三日間5コマで合計17時間ほど。
一日目:半棒表と抜刀術
二日目:履形、吉掛、込入、打込、六尺棒裏
三日目:両懐剣、互棒、四留、拳匪、枠型、引違
初伝から中伝に掛けての内容でした。
今回は、二日間4コマで合計12時間ほど。
一日目:履形、四留、二重突、一重突、半棒表、半棒裏
二日目:片胸側、壁沿、上抱、裏襟、六尺棒(刀と棒)
という、中伝以降に相当する内容でした。
指導はもちろん、貫汪館館長。
参加者は、
本部道場の門人はもちろん、顧問の先生とそのお弟子さん、
呉支部長とそのお弟子さん、
名古屋西支部長とそのお弟子さん、
北大阪支部の門人さん、
横浜支部長、
それから、呉支部長のお知り合いで太極拳の指導者の先生。
一日目と二日目でメンバーの入れ替わりはありましたが、
いずれも十数人以上での大変にぎやかな稽古となりました。
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半棒の表と裏は、今までにも何度も稽古をしてきています。
それでも、形の細かな部分の修正をしていただき。
さらに、本質的な動きをご指導いただきました。
刀と棒は、個人的には、明治神宮で演武をさせていただき。
至らなかった点を稽古して、日本武道館で演武させていただき。
京都の白峯神宮では、館長の打太刀を務めさせていただきました。
刀に対して棒で勝つ、という点では半棒とまったく同じです。
そして六尺棒の手順は、至ってシンプル。
しかし、その難しさはその比ではありません。。。
とくに打太刀の難しさときたら!
今回も、脂汗をかきながらの稽古となりました。
徒手の形は、
履形、四留、二重突、一重突、片胸側、壁沿、睾被、上抱、裏襟
履形:中段・下段を突いてくるのを制す形
履は、「基本」という意味とのこと。
今までに何度も稽古をしています。
それでも、流派の動きを体現するにはまったくもって至らず。
どの形一つを取っても、満足に動くことはできませんでした。
履形を稽古して、先の形を稽古して、また履形に戻って。
その繰り返しかと思います。
四留:両手で両手首を握り押されるのを制す形
やはり今までに何度か稽古をしています。
両手で両手を留められた、密着した間合いから始まります。
初心者でも稽古をしやすい形といえるかもしれません。
ただ、手を外したり、取り返したりがヤヤコシイ。。。
でもきっとそれも、慣れでしょう。
なにをすべきかを考えれば、動きは自然と導かれます。
極めて自然な、合理的帰結です。
ただ稽古を積むのみです。
二重突:前帯を両手で掴み押されるのを制す形
一重突:前帯を片手で掴み押されるのを制す形
袴の上から巻いた帯を掴まれます。
稽古や演武の際に帯を巻くのは、このためです。
決してファッションなどではなし。
#袴紐でも代用はできるかもしれませんが、
きっとすぐに緩んでしまうことでしょう。
それに場合によっては、切れてしまうかもしれません。
それにしても、帯を掴んで押す。っておもしろいですね。
まるで相撲のマワシのようです。
柔術の古い形では、四つに組むのはめずらしくありません。
その名残なのかと思います。
片手よりも両手の方を先に稽古するというのも、実におもしろい。
現代武道と古武道の発想や価値観、考え方の違いでしょうか。
また、掴んで押す動きを「突き」と表現するのも興味深いコトです。
受けの手が低いため、こちらも低くならなければなりません。
相手の上からでは、有効な動きはできないことでしょう。
全身が緩み、足腰が落ち、肩肘が沈んでいる必要があります。
稽古が大変おもしろく感じられました。
履形と同じく、基本に分類されるべき形なのかなあ。。。とも。
もっとも、それを言ったらどれも大事な形なのでしょう。
だからこそ、残されて/遺されて、今でも稽古されている。
そういうことかと思います。
片胸側:片手で胸襟を掴み押されるのを制す形
胸を掴む。いかにも柔術的な形です。
ただ技法的には、吉掛と似ていると言えるかもしれません。
掴まれた手を外す、あるいは外さずに掛ける。
あまりこだわる必要はなさそうです。
壁沿:両手で胸襟を掴み壁に押さえつけられるのを制す形
今回、もっとも感動したのがこの形のグループです。
両手で胸ぐらを掴まれ、壁に押さえつけられる。
どう見ても不利な、危機的状況です。
そこを、すっと体を入れ替える。
すると相手は自分の力で、顔面や肩から壁に叩きつけられる!
爽快です。
技法そのものは、履形や吉掛と変わることはなし。
押してくる相手と壁に挟まれて、いかに無駄なく動けるか。
ぶつからないこと。押し返さないこと。軸が大事。
そういうことかと思います。
自由度がほとんどなく、無駄な動きができません。
本質的な動きを稽古するのに最適な形だなと感じました。
睾被:馬乗りになられるのを制す形
今回は時間の都合で稽古せず。残念!
上抱:後方より抱きつかれるのを制す形
今回は時間の都合で稽古は一本だけ。
抱きつかれた両手を外すことさえできれば、あとは如何様にも?
裏襟:後方より裏襟を引かれるのを制す形
振り返って、あとは他の形と変わることなし。軸が大事。
履形ができなければ、他のどの形もできようはずもありません。
履形ができれば、裏襟も簡単なことでしょう。
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二日間とも、二人一組での稽古です。
いつもどおり、館長のご判断でペアを決めていただきます。
今回の私のお相手は、呉支部長のお知り合いで太極拳の先生でした。
メンバーが入れ替わったせいで交代する組もありましたが、
私たちの組は二日間変わらずでした。
休憩時間にはあれこれとお話もさせていただき。
門派と系統なども教えていただき、大変勉強になりました。
最初はあれこれとアドバイスをさせていただきましたが、
すぐに動きを覚えられて。
最終的には私の方が教えていただくような場面が多々。。。
さすが、一流の方は違いますね!
大変良い稽古をさせていただきました。
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柔術の稽古は、横浜支部でも大変な人気です。(とくに子供たちに)
ただ、柔術は難しくて苦手だ、という方もいらっしゃるようです。
つねづね、皆さんに楽しく稽古をしていただきたいと考えています。
同じ履形を稽古するのでも、履形しか知らずに稽古するのと、
他の形も知って稽古するのとでは、大きな違いがあることでしょう。
今回の講習会で稽古した内容を、
横浜支部の皆さんにもお伝えできればと思っています。
ありがとうございました。
貫汪館 横浜支部長
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