回り稽古

先日の雪は横浜でも少し積もりましたが、すぐにほとんど

とけてなくなってしまいました。

日陰にはまだ少し残っていますが、雪というよりは氷です。

朝から風がゴーゴーと吹いていて。

空には雲が走り、街路樹は大きく揺れていました。

足袋に雪駄の足元に冷たさを感じながら体育館へ向かいます。


今回からお父さん二人も道衣に袴です。うん、いいですね。

まるで道場みたい。って道場か。あは

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いつもどおり、棒廻しから。

とてもお上手な方でも、体の左右を転換するときに棒の回転が

斜めになってしまったり。

手先で余計な力を加えたり、上半身と下半身にズレがあると

そのねじれが伝わります。

無駄な力を加えず、無駄な動きをしないようにしましょう。

すでにとてもお上手ですから、より繊細な稽古が必要になります。

上手になるほど、要求は高くなります。際限がありません。


先々週まで少しぎこちなかった方が、突然とてもお上手に。

先週の講習会で半棒を稽古したのが良かったのでしょうか。

大石神影流の陽之表十本、陽之裏五本、半棒表十二本を一気に

稽古しました。いきなり初めての形を二十七本です。

普通なら形の手順を必死に覚えようとして、でも覚えられなくて、

稽古が無駄になったなどと思ったりするかもしれません。でも、

形は覚えていないけれど、エッセンスを学ぶつもりで稽古しました。

とのこと。

はい、ザッツライト。まったく正しいです。

形の手順はいくらでもお教えします。大事なのは中身です。

少なくとも、貫汪館ではそのように考えています。

もちろん、形の手順を覚えていないと独り稽古は難しいですが。

 

傍目にはとてもお上手でも、自分ではよくわからないという方も。

体に任せればできても、頭で考えるとできなくなるというのは

よくあることです。

なんでも器用にすぐできてしまう人に多いかもしれません。

自分の動きを分析するのは良い稽古になるのですが、

いきなりは難しいかもしれません。

少しお手伝い。こういうとき、言葉や理屈は便利です。


両手の持ち替えがまだよくわからない方には、

片手で廻す方法を試してもらったり。

慣れたら持ち替えれば良いことです。それはまたおいおい。


15分ほどくるくると廻して、大石神影流の稽古に入ります。

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大石神影流剣術


構え

講習会に出た方は、館長に言われたことも思い出しながら。

そうでない方は、いつもどおりに。

違うことをお教えしているわけではないはずです。

呼吸に合わせて動きます。


お父さんお二人が、なんだか今までと様子が違います。

体が固く、重心も上がっているような。

きっと帯と袴の着付けのせいですね。

ウエストを締め付けてはいけません。低い位置でゆったりと。

着付けはとっても大切です。気を付けていただきたいと思います。


素振り

いつもどおりその場で基本の素振り。

それから今回はその他に、応用の素振りも。

 一歩出ながら、表面に打ち込み

 一歩出ながら、裏面に打ち込み

 一歩出ながら、正面に打ち込み

 一歩出ながら、裏から水月を突き

 上段の構えから、水平まで斬り込み

さて、なんの動きでしょうかとお聞きすると、皆さんわかりませんと。

不思議そうなお顔をされています。

でも、試合口五本の打太刀の動きです。と言うと、

ああそう言われてみればというお顔。アハ体験?

毎週稽古しているのですが、でもまあそんなものですよね。

 一歩軽く下がりながら左を請けて、張り、諸手突き

 一歩軽く下がりながら右を請けて、張り、諸手突き

 一歩出ながら、右の揚げ小手を小さく斬り

 一歩軽く下がりながら右を低く請けて、張り、片手突き

 左足を踏み込みながら請け流し、右足を開きながら正面

さて、こちらはわかったでしょうか。


いつも相手と稽古していると、一人では動けなかったりします。

二人組の稽古の良いところですね。相手が動きを引き出してくれる。

でも一人で稽古するのも、良い稽古方法かと思います。

相手がいないので、自分の動きを客観的に観察できます。

一人稽古と二人稽古で、フィードバックし合えると良いかと思います。


試合口五本

こちらは二人一組で稽古。

5人で稽古しています。二人一組だと数が合わない。

私もペアに入ってしまうと、やっぱり全体は見えにくい。

今回は回り稽古をやってもらいました。

二組作って、お一人は休憩。

片側は打太刀、片側は仕太刀。一本やったら一つずれて。

ぐるぐると回って、一本ごとに相手が代わります。

二回打太刀をやったら、一回休憩、でもって二回仕太刀。

休憩と言っても休むのではなく、見取り稽古です。

一緒に動いて稽古したい気持ちもわかりますが、

こういうときはじっと見ることだけに集中しましょう。

同じ形をやっていますが、人によってだいぶ違います。

見るのはとても良い稽古になるはすです。

違いを見て取る。良いところ悪いところ。

さて、自分はどうだろうか。などなど。。。


一本ごとに相手が変わるので、さっきと同じにはできません。

いきなり相手が大きくなったり小さくなったり。

速くなったり遅くなったり。強かったり弱かったり。

いきなりでも相手に上手く合わせられると良いですね。

力が弱く遅い相手に、強い力とスピードで勝つのではなく。

それでは稽古をする意味を感じません。


いつも同じ相手と稽古していると、つい慣れが出てきます。

間と間合い、速さと強弱と。予想を立てて合わせてしまう。

でも、それって稽古? あまり良い稽古ではないですね。

上手な演武をするための練習とは言えるかもしれませんが。

型稽古の落とし穴なのではないでしょうか。

知らない相手といきなりでも合わせられるといいなあ。

なんて思います。とっても難しいことと思いますが。


五五の十、二八の十、、、なんて有名な言葉もあります。

合気道を稽古したことのある方ならご存知かもしれません。

 来則迎 去則送 対則和

 一九十 二八十 五五十 

 以是可和 天下無不和矣


中国の兵法書「六韜(りくとう)」のうち「虎韜」は、

「虎の巻」として有名です。

 来則迎 去則送 対則和 

 五五十 二八十 一九十 以是可和

 察虚実 識陰伏 大絶方所 細入微塵

 殺活在機 変化応時 臨事莫動心


貫汪館館長ブログ<道標>「和」

http://kanoukan.blog78.fc2.com/blog-entry-681.html

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無双神伝英信流抜刀兵法


大森流 初発刀

呼吸と動作を合わせることを重点的に意識して稽古。

打ち込みで息継ぎをしたら、あとは息継ぎをしてはいけない。

なんて伝書にはありますが、それもなかなか。

とくにゆっくり稽古していますので、ちょっと厳しいかも。

深い呼吸に合わせて、ゆっくり動きます。一本で何回か呼吸。

少しでもポカポカしてくればいいなと思います。


あ、そうそう。袴ありのお父さんズには、袴さばきもお伝えしました。

現代武道とはまったく異なる所作で、初めて見たときには面白いな

と思いました。でも伝統的な世界では普通のようです。

この袴をさばいて座るだけの動作も、とても良い稽古になります。

これだけでもその人の実力はわかってしまいます。

着付けと合わせて、とても大事な部分です。

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来週の土曜は、通常通りの稽古です。


翌日の日曜は、日本武道館へ参ります。古武道演武大会

館長と本部道場の皆さんの演武の応援と写真撮影の予定です。