館長をお招きしての稽古

街路樹も紅葉してすっかり秋の景色です。


土曜ですがいつもどおり出勤して、お昼過ぎまで仕事でした。

所用で上京された館長と合流して、拙宅にお越しいただきます。

のんびりしていただくとあっという間に夕方に。

着替えて、木刀を抱えて、体育館へ向かいます。


今回もお子さん二人が稽古に参加。女の子も入会されるとのことです。

(この稽古日記では引き続き、男の子、女の子とお呼びすることにします。)

お子さん二人に館長を紹介。先生の先生です。

よろしくお願いしますと元気な挨拶。はい、よくできました。素晴らしいですね。


お二人に足袋をお渡しして、履いてもらいます。

ほんの少し大きめでしたが、すぐにちょうど良くなることでしょう。

体もすぐに大きくなるし、洗えば少し縮むかもしれません。

足袋がきついととてもつらいですからね。

お二人に帯を結んで差し上げます。うん、前回より上手に結べたかも。

男の子はマイ木刀を持参。ご希望がありましたので、武道具店を紹介しました。無事に、お貸ししていた木刀と同じ物を購入できたようです。

鞘は市販されていませんので、手製の物をお渡ししました。

女の子には引き続き鞘木刀をお貸しします。道具は追々揃えていただければと思います。

お二人に帯刀していただいて、帯に下げ緒を結束。袴はまだです。

帯だけだと刀を上手く固定できません。左手は常に鞘に、親指は鍔に。


さて、大石神影流剣術の稽古から。

館長は横で黙ってご覧になっています。

御母堂お二人も後ろで静かに見学されています。

何気にプレッシャーですね。あは。

大丈夫、そんなことありません。精一杯、指導します。


正面への礼から。お二人の近くに寄って、一緒に行います。上手にできました。

お互いの礼。よろしくお願いします。はい、いいですね。

稽古用に向きを変えます。

右足を半歩出して、抜くところから。中段になって構え。一度、鞘に戻します。うん、先週より上手になっています。不思議ですね。

練習のため、もう一回。いいですね。

刀は鞘に入っているときは、刃が上を向いた状態です。

元に戻すときに握り込んでしまうと、ひっくり返ってしまいます。

気を付けましょう。


構え

中段。少しずつ要求を高くしていきます。膝は伸び切らないようにしましょう。

上段。近くに寄って、同じ方を向いて一緒に行います。左半円を描いて、頭上に斜めに構える。うん、とても上手。

附け。同じように左半円を描きます。体は斜め横、刃も斜め横を向きます。切っ先は相手を狙う。

下段。中段から剣を下げる。だらんと下げず、切っ先は相手を攻めるつもりで。

脇中段。右足を引いて、体は右横を向いて、剣は右肩に。

脇上段。脇中段から剣を右上に大きく伸ばします。

車。脇中段からさらに剣を後ろに下げます。腰を落とす。

裏附け。附けの左右逆。右半円を描いて、左足を踏出します。体は右斜めを向いて、刃は斜め横を向いて。切っ先は相手を狙う。

構えはどれも簡単に思えますが、実際にはどれもとても難しいです。

今後も毎回、稽古していきます。


素振り

中段から上段になって、下ろす。

まっすぐ振り上げて、まっすぐ振り下ろす。左半円は描かない。

振りかぶったとき、切っ先は斜めを向く。

吸いながら振り上げて、吐きながら振り下ろす。

ゆっくりゆっくり、静かに何度も繰り返します。

けっこうしつこく何度も繰り返しましたが、飽きずに稽古してくださいました。

これも構えと同様、とても大事な基本の一つです。

今後も一緒に稽古していきましょう。


試合口五本

さて、今回の目玉。なぜか。館長がいらっしゃるからです。

館長に打太刀をしていただいて、五本を通してお見せすることができました。

ホー、エー

きちんと正座して見ていたお子さん二人は、気合にびっくりしていたようです。

さて、館長にはまた横に戻っていただいて。

一心、無明一刀、水月、須剣、一味

交代して繰り返します。お二人とも先週より上手でびっくり。

先週の稽古からつながって稽古をしているような錯覚すら覚えます。

やはり素直だからなのでしょう。

横で見ている館長が、黙ってうんと力強くうなずく姿が目に入ります。

ときおり、お見事!との声も。

五本目は請け流しが難しいですね。

最初に同じ方を向いて、言葉でも説明しながら何度か繰り返しました。

その甲斐もあってか、だいぶ上手にできるようになりました。

来週が楽しみです。


ちょっと休憩。

御母堂のもとでくつろぐ姿は、普通のかわいいお子さんです。

さー、またすぐ稽古再開です。武道家に戻ってもらいましょう。

前半は剣術、後半は居合。


大森流 初発刀

最初に抜いて見せます。前を向いて、後ろを向いて。

それから近くに寄って、同じ方を向いて一緒に抜きます。

左手を鞘に掛けたら、鞘ごと少し抜き出しながら外に傾けます。

右手を柄に下から掛けて、さらに抜き出す。

右足を踏み出しながら、横一線の抜き付け。後ろ足の爪先を立てること。

左から振りかぶりながら、左足を右足に引き寄せて、左手は柄へ。

右足を踏み出しながら、両手でまっすぐ斬撃。

左手を腰に、右片手で刀を右に開いて右肩後ろに吊り下げて。

立ち上がりながら、右片手で斜めに振り下ろします。

左右の足を踏み替えて、納刀しながら右膝を着く。

右手を下ろし、立ち上がって、足を揃える。

元の位置に戻ります。

文章で書くとめんどくさいですね。読むのもめんどくさい。

でも実際にはこれの100倍くらいの要点があります。

それを体で実際にやるのだから大したものです。

何度も何度も一緒に繰り返しました。

礼法は刀の持ち替えやら下げ緒さばきやらで苦労しています。

居合は難しいなあ、とつくづく感じることの一つです。

少しずつ覚えていきましょう。


いつもより10分ほど過ぎて稽古終了。

遅くなってしまい申し訳ありませんでした。


年長組の男の子はまだ稽古三回目、小三の女の子はまだ二回目です。

でも、誰が見てもそうは思えないことでしょう。とっても上手。

館長もびっくりされていましたが、お教えしている私もびっくりです。

きっと素直に見たまま、言われたままを吸収しているからかと思います。

素直さはとても大事です。それから本人のやる気。


大人になると、それまで学んだこと、習ったこと、身に付けたことを捨てるところから始めないといけません。でも、それがなかなか難しい。

ほとんどの人は捨てることを惜しんで、その上に新しく乗せることを選びます。

結果として、目先の小手先の上達しかできない。

いつかつまずいて、そこで初めて捨てる覚悟ができるかどうか。

余計な物を身に付ける前に、一から素直に身に付けることができれば、

上達は速やかなことでしょう。

二十歳で古武道の免許皆伝。カッコイイ!ですね。


お子様方が帰った後は、館長からマンツーマンで特訓を受けました。

内容は、大石神影流剣術の上段の構え。

中段から振りかぶって上段になる。ただそれだけの動作です。

ダメ出しを受けながら、15分ほど繰り返しました。

それで良いと言われたわけではなく、あとは自分で稽古してくださいとのこと。

教えていただいたら、あとは稽古して身に付けるのは自分の責任です。

要求に際限はありません。どこまで求めるかはすべて自分次第。


家に戻ってお風呂と食事のあと、館長を駅までお見送り。

長い一日がやっと終わりました。


館長に、お茶に紅茶にコーヒーに冷たい水に食事にお風呂の準備にといろいろ面倒を見てくれたうえに、いつも文句も言わず気持ちよく稽古に送り出してくれる妻に感謝をします。

そういえば今日は、11月22日でいい夫婦の日でした。


来週も通常通りの稽古です。

体育館でお待ちしています。運動のできる暖かい服装でお越しください。