貫汪館 横浜支部稽古

金曜の夜に本を読んでいてそのままリビングで眠ってしまい、気付くと朝でした。

あまりこういうことはないのですが、疲れているのでしょう。

なんにしろ、平和な時代でよかったです。寝込みをおそわれることもなし。

本来なら障子にはかんぬきをかけて、刀の下げ緒を手に持って、あんどんには、

む、我が家にはあんどんはなかったか。

 

そのままシャワーを浴びて、小学校の運動会へ。

昔は何が面白いのやらわかりませんでしたが、今は見ていてけっこう面白い。

徒競走やリレーは熱いですし、綱引き、大玉転がし、玉入れもなかなか。

また500人以上で同じ動作をしたり、100人単位でいろいろな演技をしたり。

なんでこんなにバラバラなのかというくらいバラバラなのは、子供だからでしょう。

正しい動きを知らなくても、音楽に合っているかどうかで判断はつきます。

上手かそうでないかも、見ればわかります。伸びやかさ、リズム、正確さ。

各単位の精度が低くて、協調同期が低い。だから全体の動きの質が悪い。

皆が整然と動いたら、ただそれだけで、それはそれは美しいことかと思います。

まるで、武術の動きにおける各人の体の中のことのようです。

無駄な動きをせず、必要な動きを必要なときに必要なだけ。全体が協調一致。

業そのものを知らなくても、上手かどうかは初見でもわかるかと思います。

ただ、流派によって価値観は様々ですから、そこはそれですが。

 

お昼過ぎに帰宅をして、午睡。眠ってばかりですね。

夕方になって起き出して着替え。道具の準備。

 

竹刀袋を購入しました。

広告では、竹刀4本または竹刀3本+木刀1本(鍔付)を収納できるとのこと。

あるブログでは、胴張り竹刀5本が入るし鍔付きのまま2本+1本が収納可能と。

私は竹刀は1本でいいのですが、木刀に鍔を付けたまま収納できるのがいい。

竹刀用の袋で長いですから竹刀はもちろん、大石神影流用の鞘木刀も入ります。

竹刀、大石神影流の鞘木刀、定寸の鞘木刀の3本に鍔を付けたまま収納できました。小太刀も一緒に入りますが、半棒も一緒にはさすがにちょっと無理でした。

ファスナーも全開できるし、ポケットもあるし、底にはスタッド付き。

内張りはクッション素材。いい感じです。

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6時から稽古開始。

 

棒廻し

デンさん、5回目です。すっかり慣れました。

どうしても手先で廻そうとしてしまいます。手は使わない。もっとゆっくりでいい。

棒が自分から廻るのに任せます。

 

前進後退あるいは左右の転換により一歩進退する動きが、棒に力を与えます。

それを上手く回転に変換すればいい。動きをスムースにつなげること。

手先で一瞬加速できたとしても、全体の動きにつながらなければそこまでです。

毎回毎回、手で力を加えていては疲れてしまいます。

体重**キロが一歩進むためのエネルギーは果たしてどのくらいか。

普段意識していないだけで、それはとても大きいエネルギーかと思います。

それを上手く使わない手はないですよね。もったいない。

歩くだけで棒が廻ってくれるなら、こんなにエコなことはないです。

剣を振るのも同じことかと思います。

 

ゆっくりでいい。体の移動で回転させ、動きをスムースにつなげること。

しばらく繰り返していると、回転はだんだんと速くなってきました。

とくに意識しているわけではないでしょうが、スムースな動きの結果かと思います。

無理、無駄のない動き。ムラのない動き。

 

例によって15分ほど廻しました。

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大石神影流

 

試合口

 

例によって、しばらく繰り返しました。

一本目より二本目の方がお上手です。裏面を請けて、張る。

両手がクロスするから、力が統一されやすいのか。

逆に言うと、腕先だけで、体を上手く遣えていないということなのかもしれません。

それでもしばらく繰り返していると、一本目もだんだん整ってきました。

 

三本目の小手は、地味に難しい。

大きく斬ろうとすると、打太刀が上段に振りかぶった刀に当たってしまいます。

かと言って小さく斬ろうとすると、ただ当てるだけになってしまう。

手先でなく、肚で。

 

四本目の片手突きがなんだかいまいちです。単純な動作ですが全体が不一致。

左手を腰に、右足を一歩進めて体を開きながら、右片手で突く。

三つの動作それぞれはいずれも単純です。それを同時に行うだけなのですが。

左手が腰に行って、右足が一歩出て、体を開いて、それから右手で突いて。

バラバラです。

逆に、なぜそろわないのか不思議な感じです。しばらく繰り返します。

 

しばらく繰り返していると、だんだんそろってきました。

けっきょく、どこかだけを意識したり、どこかに力みがあるのが原因なのでしょう。

腕で突こう、足を踏み出そう、体を開こう。などなど

何も考えずに動けば、体は一番合理的な動きをしてくれるのかと思います。

体は合理的です。いつでも楽をしたがります。

わざわざ非合理な動きをしたがるのは、頭の働きなのでしょう。小賢しい。

それを体に無理強いしても、あまりいいことはないかと思います。楽に、自然に。

 

五本目は体をかわしながら請け流して真向。

請け流しは、上手くできると強く打ち込んでも抵抗なく流されます。

上手くできないと、ゆっくり軽く打ち込んでもガツンとぶつかってしまいます。

腕に力を入れないこと。大きく上げること。

体をかわしながらの真向は、重心が浮ついているとふらふらしてしまいます。

腰を無理に低く落とすのではなく、弛めることで結果的に低くなり、安定します。

太刀筋はあくまでまっすぐです。

 

交代して、仕太刀を一回通して終わりにしました。

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陽之表

 

やはり五本だけを繰り返しました。

よう剣は上段、げっ剣は車。続く二本は附け。三段打ちの五本目は上段から。

ただ丸暗記するのではなく、全体の流れを読むことも大事です。

 

上段、車、附け。構えは深い呼吸に合わせて。

深く息を吐くと、意識せずとも体の力は抜けるものです。

 

力を入れるのは誰にでもできます。でも、力を抜くのは難しい。

そもそも、筋肉の性質上、力を抜くという動作はないわけですし。

力を入れるか入れないかだけ。

力を抜く、というより、力を入れないということかと思います。

 

意識して力を入れない、というのはなかなか難しい。あんびばれんつ

意識して力を入れる、のは簡単です。

それを逆手にとって、意識をしないと、力が入らない、というのを利用する。

息を深く吐くと、自然に力が抜けます。その状態を利用する。キープする。

そこからあらためて、力を入れるようなことをしない。

なにかをするのではなく、なにもしない。

しないというのが難しいのであれば、なにもしないをする。というか。

ただ、いざ動くとなると、また力が入ってしまうものです。そこが難しいですね。

心の問題です。

 

休憩をはさんで、深く息を吐きながら附けの構えをしてもらいました。

とてもお上手でした。

そうそう、それそれ。以前は、いつもそうやって構えていらっしゃいました。

手数を先に進めるあまり、余裕がなくて外形だけになっていたのでしょう。

ゆっくり、深く、内面をみつめながら稽古をしなければ。

 

二生は、下段による気攻めです。

気とは言っても、形はどうでもいいと言いながらも、あまりにふにゅふにゃでは。

上段に振りかぶった打太刀が、思わず下がってしまうような下段の攻め。

形の手順を覚えただけでは、できるものではなし。

 

稲妻は三段打ちです。

せっかく深く息を吐いてとても良い上段ができたとしても、いざ三段打ちとなると。

ついつい力んでしまいます。

すでに上段に振りかぶってあるのだから、ただ下ろすだけ。

両腕の重さと刀の重さだけで十分です。ブレーキを外せばいい。それで十分。

内腿を斬るのも、剣は面に打ち込んだ高い位置にあるからただ下ろせばいい。

斬り結んだ剣をちょっと外せば、あとは勝手に落ちます。

腕の力は邪魔なだけ。ブレーキにしかなりません。

そこからまた上段になれば、あとはまたただすっと下ろすだけ。

腕の力でガチガチに打ち込んでも、タカがしれています。

腕の重さで打ち込まれると、ずんずっしりと伝わるものがあります。

毎回常に、そう打てると良いのですが。

 

しばらく繰り返して終わりにしました。

試合口と陽之表五本で、やはりあっという間の1時間です。

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太刀打

 

出合

ゆっくり軽く、繰り返します。

下での抜き合わせに、腕の力は不要です。

ただだらんと腕を垂らせば、腕の重さで勝手に抜き付けがなされます。

腕の重さと刀の重さがあれば、それで十分です。

急がず、ゆっくり、力を入れずに、軽く。

逆にその方が、重く、早くなります。不思議でしょうか。あるいは当然でしょうか。

今まで間に合わなかった抜き合わせが、余裕で間に合っていました。

もっとも、ご本人はお気づきではなかったようですが。

 

斬撃はまっすぐ。中心を。

ただ力を抜いてしまうと、へにゃへにゃのふにょふにょになってしまいます。

きちんと中心を取る、という意識は大切です。打つのではなく、斬る。

細い細い線を、まっすぐに。

 

気を抜かずに離れ、開始位置に戻ります。もちろん、納刀のときも気は抜かず。

 

附入

下で抜き合わせるのは、出合と同じです。

そこからただ一歩すっと入って、右拳を押さえる。

同時に突く体勢になりますが、剣先に意識さえあれば、自然にその形になります。

あえてなにか動作をする必要はない。ただの結果です。

力まずに抜き合わせることができれば、そのまますっと入るだけです。

拳取という名称にこだわったり、突こうとしたり、入り身を意識すると、とたんに力んでしまいます。

一歩入るときに、重心が上下しないこと。遠回りしないこと。

ただ、すっと入るだけ。附入

 

今回はこの二本だけで、1時間を費やしました。あっという間です。

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大森流

 

初発刀

最初に2回続けて抜いて見せて、1回抜いてもらい、あとは一緒に抜きました。

繰り返し繰り返し。

 

最初に立ったときに、まず力が抜けていること。深く息を吐いてリラックスする。

全身の力が抜ければ、そけい部が弛み、膝が弛み、足首が弛み。

腰を落とすのではなく、自然に重心は低くなります。

 

鼻から吸い上げながら、袴の股立ちを上げ、吐きながら膝を着く。重力に任せる。

静かに爪先を伸ばし腰を下ろして正座になったら、深い呼吸を繰り返します。

周囲の床から吸い上げて、周囲の床に戻す。周囲1メートル四方。前後左右。

胸ではなく、お腹で。下腹部まで。肚

重心は床の上ではなく、床の下にあるつもりで。深く深く下まで。

 

一緒に抜くと、間の違いは一目瞭然です。普通、まったく同じには動けません。

見て合わせようとすれば、わずかに遅れるのは当然です。常に少し遅れます。

先に動いたり、追いついたり、追い越したり。それはおかしい。

常に一定のスピードで動き続ける。遅かったり、早かったり、止まったりしない。

何も言わず何度も何度も繰り返し一緒に抜いていると、そのうち合ってきました。

もちろん合わせる気があるからです。その気がなければ何度抜いても同じです。

 

どうしても早く動こうとしてしまいます。気が急いているのでしょうか。

外形の動きが止まると、もう次の動作へ。早すぎます。

外形が止まっても、内面はまだ動いています。それが落ち着くのを待つ。

外が動くのではなく、内面の動きの結果、外が動きます。

お腹の中にジャイロがあって、それが回転して体が動く感じ。水平、垂直、斜め。

肚が動けば、全身が動きます。手足が主体ではない。

手足はどうでもいい。末端、おまけ、オプション。

・・・なんて説明すると、明らかに動きの質が変わりました。劇的な変化です。

最初にお伝えしてあったので、あとは本人の稽古次第。なんて思っていましたが。

やはり、繰り返し繰り返し、お伝えしなければいけませんね。

 

運剣

ただ振り回しているように見えます。

刃筋を意識しない動きをしていると、まるで刀ではなく、ただの鉄の棒のよう。

握り締めていると切っ先は遠回りをしてしまいます。刀の平がブーンと風を切り。

それからあらためて背中に振りかぶり、頭上からえいやっと、斬撃。

抜き付けた位置からさらに弛めることで、手首肘肩はわずかに沈みます。

それを初動として刃は自然に立ち切っ先は左耳近くを通り突き込むように背へ。

左手は右手の動きと連動して柄に掛かり、そのまま斬撃。

振りかぶるときに左膝は右膝近くに送られ、斬撃のときに右足は一歩出る。

すべて一連の動きです。左右、上下は連動。すべて中心からの展開。

抜き付けで開き、運剣で閉じ、斬撃で下りる。

 

斬撃

運剣で刀を振り回してしまっては、遠心力で刀が中心を通り過ぎてしまいます。

そうすると、刀が右から出てしまう。

最後は中心にあったとしても、それはただの帳尻合わせで。

中心で振りかぶれば、まっすぐ中心を通ります。

手の内も問題です。横から鷲掴みにしていては、まっすぐ出るはずがない。

横から持つと、結果として肩方向に引っ張るようになります。

左右の手は柄を前後に持ちますから、結果として剣先は右に、柄頭は左へ。

まっすぐ振ることはできません。

引っ張るのではなく、柄の上から押す。振りかぶりでは逆に下から支える。

 

抜き付けで手の内ができていれば、そのまま運剣、そのまま斬撃。

途中で余計なことをしなければいい。

斬撃を遠心力で行うと、勢いで刀を振り出し、引っ張って止めるようになります。

結果的に、手の内は外に開き、Vの字の持ち方に。

斬撃は勢いや遠心力で振るのではなく、柄の上から押す。ただ下ろすだけ。

肘をただストンと落とすだけです。

振りかぶった状態で、肘を軽く押さえます。ぶつかると下ろすことができません。

腕を前に出そうとしているからです。

肘をただその場に落とせば、ぶつかりませんからそのまま下ろすことができます。

 
運剣では両手はクロスするように。やっとこのように。まっすぐ柄を押します。

左右の手は斉しく遣われ、まっすぐに下ります。

 

血振るい

切っ先は床を這うように大きく円を描き、右肩後ろで吊り下げ。

どこかに力が入っていると垂直に下がりません。大きく伸びやかにゆるやかに。

勢いで動かすと切っ先が遊びます。無駄な動きをしないよう。慎重にゆっくりと。

垂直に持ち上げ、立ち上がるのと入れ替わりに下ろす。

斬撃と同じ。肘をその場にすとんと落とすだけ。振り回さない。

足はただ寄り、ただ開く。重心は上がらない。足心を通る。

 

納刀

前後上下左右に分け開き、また一つに戻る。

柄を握らない。下から軽く支えるだけ。

 

まっすぐ立ち上がり、戻る。呼吸は深く、リラックスしたまま。

 

初発刀だけで45分。

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9時に終了。

 

暑い日でしたので、こまめに休憩を取り、水分補給をしてもらいました。

(私はいまのところまだ水分補給なしです。)

そろそろ小さな羽虫も飛び始めました。虫よけ対策も必要です。

窓を閉め切りではサウナになってしまいます。(開けていても滝の汗ですが)

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来週は稽古なし。

また長野に行ってきます。

牛にひかれて善光寺参りならぬ、デンさんに誘われて特別講演の聴講です。

 

特別講演「松代藩に伝えられた武術 信州伝 無双直傳流の伝承について」

日時:6月7日(土)  

時間:16:00~17:00  

場所:信州松代ロイヤルホテル 

費用:入場無料

入場:人数100名 

講師:南山大学教授 榎本鐘司先生

http://www.matsushiro-year.jp/modules/eventguide/index.php?action=EventView&event_id=197 

H26.6.3