3月は弥生(やよい)。
「木草弥や生ひ月(きくさいやおひづき)」の略称だそうです。(wikipedia)
他に、花月、嘉月、花見月、夢見月、桜月、暮春、等の別名もあるそうです。
風雅でいいですね。一週間遅れですが一応。
今日は、神奈川県立武道館で稽古です。
いつもより1時間早く家を出ます。リュックに道衣と袴、居合刀を二振り。
大石神影流の鞘木刀二振りと定寸の鞘木刀は持たず。
地下鉄に乗るのに荷物になって大変だからという理由もありますが、
今回こそは大森流の稽古をしたいという考えからでもあります。
鞘木刀があると想定の説明や理合の確認に便利ではありますが、
つい色が出て太刀打詰合の稽古をしてしまいそうです。
それに大石神影流の稽古も。
もちろんしてもいいのですが、そうすると時間が。。。
大石神影流に30分、太刀打詰合に30分、大森流に1時間、なんて考えて。
でも実際にはまた歩法に30分、初発刀に30分。
いつまでも先に進めません。別に先に進めなくてもいいのですが。
デンさんは初発刀だけでもとても楽しそうですし。でもまあ一応。
あざみ野から市営地下鉄で岸根公園へ。新横浜の一つ隣の駅です。
(ちなみに横浜駅からは9分です。)
新横浜は高層ビルが立ち並ぶ都会ですが、一つずれただけで大違い。
なんと言っても、駅名が「公園」です。住宅街の中に大きな公園が一つ。
その中に野球場やら広場やら池やら武道館まで。
地下鉄を降りて、地上に出てすぐ目の前です。
6時前に、県立武道館に到着。受付で利用料を支払います。
奥にいた職員の方に、いつもはどこで稽古しているのか、なんて聞かれました。
他にも居合の団体がいくつもあるとか、剣道の団体もどうとか。
どうやら利用調整の関係のようです。
少し心配になりましたが、とりあえず大丈夫そうでほっと一安心。
ついでに世間話とかしました。
そうこうしていると後ろから、こんにちはと。
デンさんです。まるで、もやさまのオープニングのような登場の仕方。
ご挨拶して、一緒に更衣室へ。
途中で、掲示板に張っていただいている「貫汪館横浜支部」のチラシを紹介。
3か月ごとに更新と聞いていましたが、いつの間にか半年更新に。助かります。
更衣室で一緒に着替えて、小道場へ。
半面を利用される空手の方に軽く会釈して、二人でモップ掛け。
デンさんに、正面があっちででも本当はこっちで、なんてややこしい説明。
刀を出して、空手の方達の準備が落ち着くまでのんびりお話。
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6時15分に稽古開始
無双神伝英信流抜刀兵法
斬撃
いきなりやってもらいました。でもダメダメでした。足と手が合わず。力みも。
しばらく一緒に繰り返しました。ゆっくりゆっくり。腕は使わない。
大森流
初発刀
やはりダメダメです。先週の思わず拍手したくなるような業はどこへやら。
と言いながら、半ば予想通りではありました。
デンさんはまだ自分の中に世界ができていません。
あちらの世界とこちらの世界を行ったり来たり。中に確固たるものがありません。
稽古初めには、こちらから世界をブーストしてさしあげなければなりません。
ましてや今回は、初めての稽古場所で、しかも横には別団体の方達。
聞えよがしに刀の話をされて、元気よく準備体操なども。
普通、これでは集中できようはずもありません。納刀後の所作すら抜けてしまい。
抜いて見せて、一緒に抜いて、思い出してもらいます。
そのうち思い出してきたようです。
左刀
右を向いて座ります。静かに柄手を掛けて、上体が転がり、鞘手が掛かり、そこで動けなくなってしまいました。当然と言えば当然です。
初発刀ができるようになって、そのまま動こうと思えば左刀はできません。
もしもできてしまったとしたら、それはきっとなにか誤魔化しているのでしょう。
左刀には左刀の理合というものがあります。
すべて初発刀の変化応用と言っても違いはあるものです。まったく同じではない。
一度立ち上がっていただき、膝腰を弛めて両手を左右にぶらぶらと。
より弛み、より沈むことで自然に廻ります。ほんのわずかの崩れをきっかけに。
体感はできたようです。
ただ難しいのは、それを正座の姿勢で行わなければならないこと。
足腰は床の上で、一番低い位置にあります。それより下がりようがありません。
そこをなんとかさらに沈め、崩して、くるりと廻ります。そのうちなんとか。
右刀
これは左刀と対照的で対称的。沈みも崩れもほとんど必要ありません。
体を開く作用ですぱっと。逆になにもしないことの難しさと言えるかも。
とりあえず形はなんとか。でも体感はないようです。お顔を見ればわかります。
でもこればかりは、ご自身で稽古を重ねていただかないと無理なこと。
そのまま次へ進みます。
當刀
左刀よりもさらに弛んで、沈みます。とだけお伝えして抜いていただきます。
一回で上手に抜けました。左刀よりもお上手なくらい。
お聞きすると、廻り始めるとあとはそのまま廻れるとのこと。まさしく。
何度か抜いていただいて、次へ。
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陰陽進退
さてさて本日の眼目。當刀までは、前々回の横浜講習会の前日に稽古しました。
陰陽進退は今回が初めてです。
まずは一回抜いて見せます。簡単に説明。
最初の斬撃は立ち上がらない。納刀して足を引いて張り受け。止まらずに斬撃。
ポイントはこの3つかと思います。
立ち上がって斬撃、立ち上がって膝を下ろしながら斬撃、そのまま進んで斬撃。
いろいろな動作があります。
貫汪館の無双神伝英信流では、外見上は立ち上がり、でも立ち上がらない。
そこが難しい。
そうは言っても立ってるじゃん。と言われてしまえばそれまでのことです。
逆に座っていても、立っている場合もあるのですが。
そこが見えなければ、わからなければ、稽古のしようがありません。
ただ回数を重ねてもむなしいだけ。全然違う方向に行ってしまうかもしれません。
張り受けは足を一歩引きながら。足を下げるのではなく、体の移動。沈む動き。
腕の力ではなく、体を開く動き。中心の作用。
足は前から一気に後ろに下げますので、とても難しいかと思います。
張り受けで止まらず、ゴムのように戻りながら運剣、斬撃。開いて閉じて。
つい止まってしまいます。剣に威もない。詰合の第一挙動でもあるのですが。
止まっている暇はありません。
とりあえず形はできます。でも似て非なる動き。
本来ならここで稽古にたっぷりと時間を取りたいところ。とても難しい業です。
稽古すべきポイントが多い。一気に3つも。
でも今回は先に進むことにしました。稽古はおいおい。
初発刀の進退の組み合わせの方が、比較的稽古はしやすいかもしれません。
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流刀
受け流しではありません。流れるように動きます。止まらない。
最初に抜いて見せましたが、速くて分かりませんでしたと。
速くはないと思うのですが、でも早いかもしれません。
ゆっくりと抜いて見せます。でも難しいご様子。言葉でも説明。
左足をまっすぐ前に踏み出して、なんて見ればわかることも言葉にしたりして。
見慣れない動作は、ゆっくりでも見て取ることはできないものです。
逆に見慣れた動作なら、かなりのスピードでも見て取ることができたりします。
止まらないことがポイントのこの業ですが、どうしても止まってしまいます。
きっと形を作ろうとしてしまうからでしょう。
動きができてくれば、形は自然と整ってくるものです。
形ができても、動きができるとは限りません。
動きを形の連続ととらえている間はダメなのでしょう。
連続写真をつないでも動きにはならない。毎秒60コマとかなら別でしょうが。
でもそれでは応用はききません。決められた形をなぞるだけ。
それよりも、動きの原理原則を身につける方が合理的な気がします。
あとは状況に応じて変化するだけ。
そうは言っても、形も気になるものです。でも、ある程度の形ができてから動きを、なんて思っていると、袋小路にはまっちゃったりなんかしちゃったりして。
私も説明された形を一生懸命に作っている間は、まったく動けませんでした。
こりゃ無理だなとあきらめて、しばらくテキトーに繰り返していました。
止まらないこと、弛めること、中心で動くこと、ばかりを意識して。
気付くといつの間にか、説明された形になっていました。
形を求めていたら、きっと別の何かになっていたのではないかと思います。ああ、おそろしい。。。
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順刀
やはり最初に抜いて見せて、想定を説明して、動作を説明。
真似してもらいます。動作はすぐに真似ができます。
基本さえできていれば、簡単な業かもしれません。それが難しいのですが。
対敵動作でないのであれば、ゆっくりと自己を確認しながら動くことができます。
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逆刀
初発刀の抜き付けは、段階的に進んでついにここまで。
両手で刀を抱え上げるようにしながら、すっと腰が上がります。
でも足で蹴ったりはしませんし、腰が伸びたりもしません。腕も使わない。
すべて体の中心から動きます。
動作はできていたとしても、なんだかあまりにも違った動きに見えてしまうのは、そういった基本ができていないからなのでしょう。
これもなんと説明してよいのやら。言葉にすればすべて同じになってしまいます。
教える難しさを実感するとき、自分が教えていただいたことに対する深い感謝の念を覚えます。
いただいたものは、次の方にお渡ししないといけない。
これもおいおい覚えていただければと思います。
動作の手順自体は簡単です。難しい納刀もすぐにできるようになりました。
とても器用でいらっしゃいます。
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8時45分に稽古終了。2時間30分の稽古でした。
今回、一気にだいぶ進みました。
陰陽進退まででいいかなと思ったりもしながら、でもやっぱりできるときにできるところまで、と考えてのことです。
本部講習会であれば、一日で二十本とか三十本とか普通ですしね。
2時間半で8本なんて、少ない少ない。マンツーマンですし。
次回、逆刀までさらっと復習をして、勢中刀、虎乱刀、抜打まで。
鞘木刀を遣って確認の稽古もできるかもしれません。
時間に余裕があれば、太刀打詰合も。
なにより課題は、いつもと違う環境で、いつもと同じ稽古ができるかどうか。
こういったことも、とても大事なことなのではないかと思います。
いつもと環境が違うから実力が発揮できなかった。ではなんのための稽古やら。
業が上手かどうか、とかいうレベルの話ではないような気がします。
H26.3.12