筑波大学において、古武道体験プログラムが開催されました。
正式名称は、比較文化学類 独創的な教育プログラム「古武道」
場所は、筑波大学 武道館 古武道場
演題は、「古武道を体験する」
対象は、筑波大学 日本人留学生及び外国人留学生
http://blog-imgs-60-origin.fc2.com/k/a/n/kanoukan/201311242138053e4.jpg
館長が講師を委嘱されましたので、僭越ながら助手として同行いたしました。
貫汪館<道標>
比較文化学類 独創的な教育プログラム「古武道」
http://kanoukan.blog78.fc2.com/blog-entry-2414.html
最初にパワーポイントを利用した座学を行いました。日本語による理解が難しい
部分については、館長による英語の説明も行われました。
座学のあと、事前に郵送しておいた大石神影流の木刀を一人ずつお持ちいただき、構え、素振り、試合口、陽之表までを稽古していただきました。
参加者がどんな方々か不明でどのように進めるべきかは悩みどころでしたが、とても理解の早い方ばかりでスムーズに進めることができ、試合口五本に続き、陽之表は館長の選んだ数本の手数までを稽古していただくことができました。
笑顔と拍手のうちに実技を終え、最後に全員で記念撮影を行い、夜は懇親会にご招待いただきました。
貫汪館では毎年恒例の演武大会の他「廿日市市国際交流協会における演武」「城下町広島の歴史講座十講」「広島城二の丸夜話」などに参加してきました。
今後もこのような活動を続け、貫汪館の古武道の普及につとめてまいりたいと思います。
---------------------------------
筑波大学は、茨城県つくば市にあります。
交通は、JR秋葉原駅からつくばエクスプレスで45分の終点「つくば駅」から、循環バスが出ています。
あざみ野からは、北千住でつくばエクスプレスに乗り換えることができます。田園都市線の渋谷からは半蔵門線に直通、さらに押上で東武伊勢崎線に直通ですので、北千住までは乗り換えなしで行くことができます。
ただ今回は館長と合流する必要がありましたので、渋谷で山手線に乗り換え、品川で館長と合流して、そのまままた山手線に乗って秋葉原へ出ました。乗り換えは1回増えますが、渋谷で山手線に乗り換え、というルートはわかりやすく、待ち合わせなどにもとても便利です。(交通の便が良いアピール)
道着を詰めたリュックを背負い、大石神影流の鞘木刀2本を担いで家を出ます。
行く場所が行く場所ですので、スーツにネクタイです。それにリュックと刀袋。不思議な格好ですね。
でも、品川で合流した館長も同じような格好ですので、なんとも思いません。
聖地アキバッパラでTXに乗り換えて電車に揺られていると、街並みは次第に田園風景が増えてきます。柏の葉を通り越して、終点のつくば駅へ。
つくば駅で地上に出ると、とてもきれいな街並みです。ただ少し、きれいすぎます。
いかにも人工的に整備された街並みという感じがします。横浜では港北ニュータウンの雰囲気がとてもよく似ています。
館長がホテルにチェックインして荷物を置いて、ミスドでコーヒーを飲んで一服。
大学の先生に連絡をして迎えに来ていただきます。
大学へは車で10分ほど。駐車場に車を停めて、キャンパスを歩きます。
武道館の古武道場へ。掲示板を見ると、剣道部に、空手部が複数、合気道部も複数、そして鹿島神流武道部が活動されているようです。
更衣室にはたくさんの剣道の防具の他に、棒やなぎなたなども置いてありました。
古武道場へプロジェクターを設置して、PCに接続します。少し手こずりました。
木刀は、館長があらかじめ大学に郵送してありました。
大石神影流の木刀20本、常寸の木刀10本を受け取り、すべて鍔をはめます。
今回は大石神影流の剣術のみですので、鞘はなしです。
間もなく留学生が集まってきました。定員30名の募集で、満員だそうです。いろいろな国からの留学生のようですが、日本語も流ちょうで、ぱっと見では日本人か外国人か、わからない方もいらっしゃいます。
定刻を少し過ぎ、大学の先生の進行で、館長と不肖私の紹介から始まりました。
座学ではパワーポイントを利用して、貫汪館の古武道や大石神影流剣術について館長が説明を行いました。
私は座学ではとくにやることもなく、手持ちブタさんで脇にさぶらうていました。
でもって、パワーポイントの画面と参加者さんの顔を交互に眺めたりなんかして。
皆さん最初は興味津々で見ていらっしゃいましたが、さすがにそのうち下を向く人もちらほらと。それを察したのかどうか館長がいきなり英語で説明を始めました。
それに度肝を抜かれたのか、皆さんの顔がぱっと上がったのがおもしろかったです。
さらにおもしろかったのは、今度は英語がわからないという声が上がったことです。
どーしろとゆーのか。館長はそのまま英語で説明を続けられました。
さて、やっと実技の時間です。受講者30人お一人お一人に木刀をお渡しします。
体の小さい人や力のない人は短い方の木刀をと館長が説明されましたが、
皆さん、長い方の木刀を受け取りに来ます。
どんだけアグレッシブなんだと思いましたが、長いのもなにも区別がついていなかっただけなのかもしれません。
まずは構えから。真剣、上段、下段、附け、脇中段、と順次説明をしていきます。
皆さん、腕を上げているのがつらそうです。力を入れるからつらいのであって、力を入れなければそんなにはつらくないのですが、さすがに初めてでそこまでは。
続いて素振り。上段から真剣に下ろします。
館長が、日本語と英語を交互に使って説明されます。
深い呼吸で、肚を中心に動く。皆さん、熱心に聞いています。
手数の稽古に入ります。まずは二人一組になって、整列していただきました。
中央で、館長と向かい合って立ちます。試合口、仕太刀をやってくださいと。
もちろんとくに打ち合わせはありません。いきなりの示範です。
館長のホーッという裂帛の気合での打ち込みを、請けて張り、エーッと突きます。
それまで和やかに穏やかに、構えと素振りの稽古をしていましたが、突然の気合に皆さんびっくりされたようです。
試合口五本を一気に通しました。終わって緊張が解け、一気に笑顔と笑い声が。
もう一度一本目の示範をして、簡単な説明をします。
館長は流ちょうな英語で説明をされましたが、二回ほど詰まってしまいました。
一つは、へそ。へその下、と言いたかったのですが、単語が出てきませんでした。
会場で皆さんにお聞きしましたが、どなたからもお答えはいただけず。
ただお一人から、タンデンと。いやまあ、言いたかったのはそうなんですけどね。
その方は、脇中段の説明のときにも、ハソー、とおっしゃっていました。
日本の武道にお詳しいようです。
へそは、英語ではネーブルだそうです。navel ネーブルオレンジのネーブルです。
もう一つは、位を見る。位って、なんなんでしょうかね。いろいろな単語で説明はできるとは思いますが、いずれも合っていて、いずれも合っていないような。
外国の言葉で説明できないのは、その文化に同じ概念がないからなのでしょうか。
それとも単に、自分の理解が足りないだけなのでしょうか。
私などは構えの“附け”をどう訳すべきかでも、とても悩んでしまいます。
そして、さあ、やってください、と。
皆さん、初めてなのにとてもお上手です。ただやはり中には少し、戸惑う方も。
様子を見ながら、少しだけアドバイスをします。皆さん、とても楽しそうです。
続いて二本目、三本目、四本目と、あっという間に五本目まで。
四本目まではお互いに右足が前のままでしたが、五本目では左足を前に踏み込みながら受け流して斬り込みます。
やはり、少し難しいようです。アドバイスをする方も大忙しです。
面白かったのは、やはり、国民性が出るということでしょうか。
皆さんそれぞれ、それっぽい動きをなさっています。
それに個人の性格も。全然違う動きをしているのにとても楽しそうな方もいれば、正しく動けているのにわからないわからないと下を向いてしまう人も。
とても上手なので剣術の経験者かと思うと、刃が反対を向いている人もいました。
しかも、何度指摘してもちょっと目を離すとまたすぐにひっくり返ってしまいます。
そのうち、笑って目配せをすると、すぐに気付いて直されるようになりました。
皆さん覚えが早く、陽之表も稽古することになりました。
まずは、よう剣から。ホーッと斬り結び、エーッと押さえます。
続いて、げっ剣。打太刀と仕太刀の攻防が、めまぐるしい。それでもなんとか。
覚えが良いので、さらに先に進むことに。
正当剣。せっかくの体験ですから、面白みのある手数を、との館長の判断です。
最後に千鳥。
あっという間の2時間でした。
笑顔と拍手のうちに実技を終え、皆さん木刀を持ったまま、記念撮影をしました。
一人一人から木刀を受け取り、鍔を外して、まとめて結んで袋に入れます。
名刺交換をしたり、個別に写真を撮影していただいたりも。
夜の懇親会では、流ちょうな日本語を話す外国人留学生の方から、
武士道と古武道の違いはなんですか?という質問も。館長が回答されました。
少しのお酒と、美味しい料理、そしていろいろなお話しを楽しみました。
再び車でつくば駅まで送っていただき、館長はホテルで一泊。
私はまたつくばエクスプレスに乗って、今度は北千住で乗り換えを。
12時を5分ほど過ぎての帰宅となりました。
翌朝、起きると、なんだか両肩に違和感がありました。
アメフトのショルダーパッドを着けているような感じです。力み、ごわつき、固さ。
示範のとき館長に小さな声で、肩に少し力みがあります、と指摘されました。
それを意識して、敏感になっているのかもしれません。
もうひとつ、こっそりと指摘をいただいたことがありました。
いずれも昔からの悪癖です。これを機に、徹底的に直してしまう覚悟でいます。
そういえば私は、公の場での演武はこれが初めてでした。デビューです。やほー
とくに緊張もせず、失敗もせず、無難にこなせたような気がします。
・・・だといいのですが。
H25.12.3