貫汪館 昇段審査前講習会

日曜は貫汪館の昇段審査会です。

前日の土曜は、それに先立って昇段審査前講習会となっています。

 

7時に起床して家を出ます。

週末なのにいつもの通勤と変わりませんが、いつもより早くないだけましです。

日曜なのに始発で出勤して夜遅くに帰宅とかも、何年かに一回あります。
キャリーバッグには道着と袴と帯と足袋を一セットと一泊分の下着など。
刀袋には居合刀と定寸の鞘木刀と大石神影流用の長い木刀の三本だけです。
量としては少ないというほどではありませんが、自分の分だけですからとくになんとも思いません。自分の体を荷物と思う人はあまりいないかと思います。

 

北新横浜の次の新横浜へ。なんだかやたらと人が多いです。
しばらく考えて、はたと気付きました。世は俗に言う三連休だったと。
そういえば土日は広島と言ったら、三連休なのに?と言われたのでした。

そうだったそうだった。
それはそれとして、みどりの窓口へ急ぎます。新幹線の席が取れないと困ります。
切符はいつも事前には買わず当日に買います。

早く買えば割引があるのはわかっているのですが、予定どおりに動けるとは限らないので。
幸い窓口は行列にはなっていませんでしたが、電光案内板を見てびっくり。

空席がほとんどありません。○△×はわかるのですが、-ってなんだ。

前回もありましたが団体の予約かなにかでしょうか。なんにしろ×と-ばかり。
自分の番が来て、聞くまでもないことを確認します。やっぱり空席はないそうな。
もちろん自由席でもいいのですが、3時間半以上を立ちっぱなしで移動して、到着してすぐに3時間稽古して、翌日は朝から一日審査、というのはちょっと避けたいです。それに自由席だと荷物も気になりますし。


やむをえずグリーン車で行くことにしました。通常より7千円も高いです。しかも喫煙車。そして発車は7分後です。

急いでホームに上がり、売店でお土産と自分の食事を買います。
レジに並びながら、間に合いますようにと心の中で繰り返し、なんとか間に合いました。
1時間も待てば空席は出たのかもしれませんが、稽古に遅れてしまいます。
いつもは日曜の講習会に先立って前日にお邪魔して、柔術の稽古の横で居合の自主稽古をさせてもらうだけなので、遅れても自分の稽古時間が減るだけですが、今回は審査前日の講習会形式です。

居合も剣術もペアがあるので、遅れると相手の方に迷惑を掛けてしまいます。
それになんと言っても、ただぼーっと待つのもちょっとあれですし、一度グリーン車に乗ってみたかったというのもありました。

 

グリーン車の利用は初めてです。

通り抜けしたことはありますが、そのときは別世界だなと思いました。

入口が前にしかなくてちょっと不便かも。

車両に入ったとたんにタバコの匂いがしましたが、すぐに慣れました。

鼻は一番敏感な器官で、でも慣れるのも一番早いのだそうです。
なんだか不思議な気がしますが、敏感なままだったら逆に大変かもしれません。
ただ、慣れ、というのは危険なことかと思います。稽古の上でも。修業の上でも。生活の上でも。
座席に着いて間もなく、おしぼりを渡されてびっくりしました。
座席の表面はふかふかですが、座るとちょっと固いかも。
座高が少し高いですが、フットレストを使うとちょうど良い高さに。
前の席の背もたれから倒して使うテーブルはなく、肘かけから飛び出して展開するテーブルです。手元に刀があると、ちょっと使いにくい。

前後左右の空間はやはりゆったりとしていますが、窓から見える景色は同じでした。当たり前か。

サンドイッチとコーヒーで一息ついて、一眠りします。

 

新横浜から名古屋は1時間半弱ノンストップです。次の京都までは40分弱。あとは新大阪、新神戸、岡山、広島とあっという間です。合計約3時間40分。
ずっと座りっぱなしでお尻が痛くなりますが、江戸時代の廻国修業に比べれば夢のような便利さです。
どこでもドアがあればもっと便利だろうなとは思いますが、空間移動に必要なエネルギーのことを考えたら割に合わないのではないかと思います。

なんにでも代価は必要です。

 

広島で降ります。なんだか暑いです。
平日は涼しくて週末は暑いというのが最近の流行りなのでしょうか。
自宅へのお土産を先に買ってしまいます。帰りの新幹線も切符は買ってありません。帰りの時間は未定ですし、1本でも早い新幹線に乗って帰りたいからです。

そんなわけで、帰りも時間に余裕はありませんので、お土産は先に買ってしまうのです。我ながら合理的だとは思いますが、あんまりお土産を買っているという感じはしません。
山陽本線に乗り換えます。四両編成の前二両は混んでいたので、三両目に座りました。
20分ほど乗っていると、宮内串戸駅に到着しました。なんだかすっかり見慣れた風景。
スポーツセンターまで歩きます。やたらと暑い。
キャリーバッグを引きながら汗だくになって、登り坂の途中で何度か休みました。

 

スポーツセンターに到着すると、まず入口の「本日の利用団体一覧」をチェックします。
もしかして一週間間違えていたらどうしよう、場所を間違えていたらどうしよう、時間を間違えていたらどうしよう、といつも不安で仕方がありません。小学校の遠足でリュックを背負って登校していたら、ランドセルを背負っている子を見て不安になり、同級生がリュックで来ているのを見て安心するような気分です。あるいは運動会とか。

1時から貫汪館の予約が入っていました。あれ?いつも2時からだったと思うけれど。
でもまあ5時まで利用になっているから大丈夫だなと自分を安心させて、武道場へ向かいます。

すぐに何かと何かをぶつける音が聞こえてきました。乾いた木の音です。
ちゃんちゃんばらばらとはこのことでしょうか。あるいは撃剣。
と言いながら、木刀と棒だろうなとはすぐに想像がつきます。

木刀と木刀では音が少し違います。
武道場ではすでに稽古が始まっていました。
今日は2時から審査前講習会なので、1時から柔術の子供の稽古の時間にしたのだそうです。

なにかと影響があるものですね。思慮が足りない自分を反省しました。日に三度省みる。
挨拶をして着替えます。正座して体と心をゆるめながら、柔術の稽古を眺めます。
そのうち館長がいらして、審査前講習会が始まりました。

 

2時からは大石神影流剣術の稽古です。
構えから。

真剣、上段、附け、下段、脇中段、脇上段、車、裏附け。何点か注意を受けました。
自分で稽古をしているとどうしても勝手な癖が出てきます。それを指摘していただけるというのはとてもありがたいことです。

自分で自分のことは、なかなかわからないものです。
素振りは、皆、速すぎると注意を受けました。呼吸を深くして、それに動作を合わせるようにと。

大石神影流の素振りは、上段から中段に戻る動作をゆっくりと繰り返します。
一般の素振りとは少し違うかもしれません。
もっとも現代武道と違って、古武道は流派によってそれぞれですから、そもそも一般的という表現自体があまり意味をなさないかもしれません。

続いて手数。試合口、陽之表、陽之裏。二人一組で稽古をします。
手順は独りでも稽古ができますが、やはり相手がいないと間と間合いや呼吸は稽古が難しいです。

相手によっても違いがありますが、そこも稽古の楽しみです。
どんな相手とでも初回でいきなりできるようになりたいものです。

また、そうでないと意味がない。
どちらもお互いに機械のように正確に動くからぴったりと合う、というのではなくて。
私の明日の相手の方はお仕事で稽古にいらっしゃらないので、今日は合わせなしです。
それに貫汪館の教えで、審査会や演武会などの当日は稽古をしてはいけないことになっています。

審査はぶっつけ本番です。明日が楽しみです。

 

3時からは無双神伝英信流抜刀兵法の稽古。
受審予定の4人でそろい抜き。ときおり館長のアドバイスがありますが、少しだけです。もう審査前日ですし。
柔術の方は、柔術の稽古へ。こちらは、板の間と畳が半面ずつですのでとても便利です。
現代武道は一般的に、畳だけまたは板の間だけの稽古になるかと思いますが、貫汪館ではどちらも使います。

柔術と言っても素手限定ではなく、剣や棒も使います。鎖鎌や分童を使うこともあります。それが柔術です。

無双神伝英信流抜刀兵法でも相手を転がしたりはしますが、通常は板の間で用は足ります。
大小立詰では立った状態から投げる業がありますので畳の方がいいですが、技量次第では板の間でも大丈夫かと。

逆に素抜き抜刀術は、畳の上なら正座に不慣れな方でも稽古がしやすいかもしれません。

ただ、きちんと膝を浮かせないと、袴が畳に引っ掛かって動きにくいですが。
大石神影流剣術では転がったりしませんので、畳は必要ありません。

もとは屋外や土間で稽古していたようです。
澁川一流柔術も、もともとは土間にゴザを敷いて稽古をしていたと聞いています。
稽古は、大森流と英信流表を抜いて、二人一組になって太刀打と詰合まで。

 

4時からは澁川一流柔術の稽古です。
私と北大阪支部長は今回は柔術は受審しませんので、太刀打と詰合を繰り返しました。
終わり近くになって、お願いして、大小詰の稽古の相手をしていただきました。
北大阪支部長は転がる系の稽古はしたことがないとのことですが、器用に転がります。
板の間ですが、まったく痛くないとのこと。恐怖心がないのがいいのかもしれません。
大小詰は座りですから大したことはしないのですが、それでもガチガチに固まってしまって、ただ転がるだけなのに痛そうにしている方もいらっしゃいます。
何度も転がされながら、なにをされているのかわからない、おもしろいおもしろいと。
聞いているこちらの方が面白いです。
大小詰は座りですから、それほど受身の技術は必要ないのかもしれません。
柔術は立ち業が主だったのが安全のために座って稽古をするようになったのだとか、畳ができて安全に稽古ができるようになったのだとか、いろいろと聞きます。
単純に大森流、英信流表、英信流奥、太刀打、詰合、大小詰、大小立詰という順番が昔からあるように思ってしまいますが、果たして実際はどうなのでしょうか。

 

5時で稽古は終了となりました。
見学に来ていた女性が、ご挨拶に来てくださいました。また見学させてくださいと。
いやまあ私は横浜からなんですけどね、ごにょごにょ。
日本舞踊をやられているとか。でもって中国拳法もやっていらっしゃるとのことで詳しくお聞きすると、八卦掌と楊家太極拳に、最近は形意拳もと。内家拳ですね。

楊式ではなくて楊家とおっしゃっていましたから、競技ではなく伝統の方なのでしょう。

ただ習う順番が気になりました。普通は形意拳が最初かと。

人それぞれなのでしょうか。

貫汪館に向いていると思うのですが、入会はされずに見学だけとのこと。

もったいない。きっと上達されると思うのですが。

 

稽古後は皆で懇親会でした。皆でしゃぶしゃぶに行きました。
二時間食べ放題飲み放題で二千円ってすごい安いですよね。
温泉に行ってのんびりしたあと、ミーちゃんとスミレちゃんに挨拶しました。
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ブログ見てます、と何人かの方から言われたりしました。
いやあのブログじゃなくて、稽古日記なんですけれど。。。
ああそうか、稽古のことを書かないからか。納得

 

いやでもほら、大石神影流の上段はもっと腰を落としてとか、附けはもう少し半身にとか、そんなの読んでもつまらないのじゃないかと思って。属人的な内容だし。

もちろん、自分の稽古録にはきちんと書いていますが。
それに細川義昌先生の日記でも、温泉に行ったとか、木刀を遣ったとか、そんなことしか書いてないし。

ああ、あれは日記だからいいのか。

 

明日は昇段審査会の報告です。

H25.9.17