三流派

木曜日は、あざみ野第一小学校の卒業式でした。

文化・スポーツクラブの一員として団体登録をしている関係で、

来賓として招待されました。とても感動的な式でした。

年を取るにつれ、涙腺がゆるくなることを実感しています。


金曜日は、文化・スポーツクラブの運営委員会。

午前中だけ仕事を休んで、出席です。

役員は2年交代で、どこの団体も役員になっています。

今回、事務局長に任命されました。

小学校に対しては、ワックス掛けでせめてもの恩返し。

そして、利用団体の相互調整や組織運営も必要不可欠です。

自分だけ何もしないわけには行きません。


土曜日は、春分の日。

そして、いつもどおりの稽古です。

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棒廻しから。

本来は六尺棒を廻しますが、今は半棒で稽古しています。

棒廻しそのものが上手になることが目的ではありません。

棒に慣れ、手の内を作り、体軸を作り、歩法を稽古し。

皆さん、だいぶ上手になられました。

でも、棒を廻すことだけ上手になっても意味がない。

本来の目的を確認してもらうことにしました。


澁川一流柔術

半棒表 一本目 立合

打太刀は肩に構え、一歩踏み込みながらまっすぐ打ち込む。

左に避けながら半棒の下で受け、返して左手を添えて落とし、

左足を踏み込みながら真っ向を打つ。

打太刀は右足を引いて受ける。


とても単純な動作です。

打太刀に立ってもらって、いきなりやって見せます。

先日の横浜講習会で、何人かは稽古あるいは見学をしました。

その甲斐もあってか、皆さんすぐにできました。

手の違い、足の違いはありますが、それはまあおいおい。


よくわからないからと固まってしまわず、とりあえず動く。

それはとても大事なことかと思います。

ただ、日頃の棒廻しの稽古の成果を発揮できたかどうか。

相手がついた途端に、力任せに打ち込むようでは困ります。

くるくると棒を廻すように、軽くさっと打ち込んでほしい。

でもそこに、威がないといけません。難しいところです。

棒と体が一体になっていれば、できるのかと思います。


棒は、剣と違って上と下の両方を同じように遣えます。

そこがまた難しく、おもしろいところですね。

また稽古しましょう。


柔術の稽古の一本目が半棒というのもおもしろいですね。

でもまあ、そういうのもありということで。

柔術は“素手と素手の格闘術のこと”ではありませんし。

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大石神影流剱術

構え素振り

肩から先の腕だけを動かして、剣を操作してはいけない。

肚を遣って、体全体で動く。

今回、少し変化の兆しが見えたように感じます。

ただ漫然と同じ動作を繰り返すのではなく、常に自分を観察して、

自分で自分をバージョンアップしていきましょう。

自己進化型のAI


お一人ずつ前に出て、号令を掛けて構えをとってもらいました。

問題なくできる方、緊張で舞い上がってしまう方。

いろいろでおもしろいですね。

人のを見ながら、人に合わせて動くのではなく、

自分一人でできるようにしましょう。

稽古あるのみです。


陽之表 一本目 よう剱

打太刀は脇中段。仕太刀は上段。

さらさらと三歩進み、真っ向。位を見る。


やはり打太刀に立ってもらい、いきなりやって見せました。

これまた単純な動作です。同じく、横浜講習会で稽古しました。

皆さん、すぐにできるようになりました。 


そして今回は、気合を出してもらいました。

よう剱です。陽の気がないと意味がない。

先週、県立武道館で間近に体験した、剣道や自顕流の方々の

気合に負けないように。

剣を手先で打ち込み、手先で押さえてはいけない。

剣と体を一体にして、肚で動くことです。

これもまた稽古しましょう。


大石神影流の手数は、よう剱の一本だけを稽古しました。

新しい手数です。集中して稽古ができたかと思います。

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無双神伝英信流抜刀兵法

大森流 初発刀

いつもどおり、一緒に何本か抜きました。


左刀

続いて、見てくださいと言って、新しく一本を抜きました。

右を向いて座り、正面に向き直りながら抜き付け、跡同前。

左刀(さとう)です。

一回だけ黙って抜いて見せて、さあやってください。

貫汪館方式です。


果たして、正しくできたのはお一人だけ。

でもそれも、途中で他の人のをご覧になったのか、

間違えている動きに合わせてしまいました。

多数の方が正しいとは限りません。

正しいのは自分一人ということもあるものです。

そのとき、信念を貫くことができるかどうか。

そもそも、自分で自分をそこまで信用できるかどうか。

日頃の鍛錬が物を言う瞬間でしょう。


それはさておき。

もう一度。黙って抜いて見せます。

もう一度。

できる人、できない人。できたけれど、戻ってしまう人。

いろいろですね。


初発刀との違いは二つだけです。

一.右を向いて座り、正面に向き直りながら抜き付ける。

一.右足と左足が逆である。

知っている人、できている人からすると至極簡単なことです。

同じ向きで抜いて、さて足はどっちでしょう?なんて言うと、

やっとおわかりになったようです。

でもって一緒に抜くと、すぐにできるようになりました。

手順だけなら簡単なものです。中身はまた別ですが。


初発刀だけできれば、ある意味それだけで十分でしょう。

ただ、初発刀だけ稽古していても、その初発刀が完璧になるかは。

いろいろな形を稽古する中で、その差異と共通項を確認し、

ああでもない、こうでもないと試行錯誤して行く。

それが稽古というものでしょう。決して、練習ではありません。

流派に残された形というのは、そのためのものかと思います。

右足前と左足前ばかりの違い。

言葉にすると簡単です。でもその中身はどうでしょうか。

努々疎かにすることはできないはずです。

能々稽古しましょう。

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長らく同じ形ばかりを稽古してきました。

今回一気に、三流派で三つの新しい形をお伝えしました。

4月で新年度になったから、新しいカリキュラムをスタート。

レッスンに20回出席したから、次のステージ。

一人で間違えずにできるようになったから、次のグループ。

そういうものではありません。


貫汪館では、三つの流派を伝承しています。

 柔術の澁川一流

 剣術の大石神影流

 居合の無双神伝英信流

一つの流派を免許皆伝になったら、次の流派を稽古する。

そういう方法もあるでしょう。

でも、二つあるいは三つを並行して稽古するという方法もあります。

いったん一つの流派だけに凝り固まってしまうと、

別の流派にはなかなかなじみにくいかもしれません。

頭も体も心も。


澁川一流柔術には、素手、剣、棒などなどがあります。

大石神影流剱術には、剣、小太刀、二刀、棒など。

無双神伝英信流抜刀兵法には、居合、剣術、柔術。

初心の内からいろいろと稽古しておくのも良いでしょう。

将来が楽しみです。


礼法も、三つの流派でそれぞれ異なります。

・蹲踞して、両拳を床に着ける。

・片膝を折り敷いて、両拳を床に着ける。

・正座して、両掌を床に着け、額づく。

正座が正式で蹲踞が略式、などということではありません。

どれも正式な礼法です。

それぞれ、成立の時代と背景の違いということです。

こういったことも、併修することで理解できるかもしれません。

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来週の稽古は、場所と時間が通常と異なります。

詳細はお知らせしたとおりです。ご注意ください。

→間違えました。来週は通常通りの稽古です。