貫汪館 横浜支部稽古

二尺八寸の居合刀と二尺六寸の居合刀、大石神影流の鞘木刀二本と常寸の鞘木刀一本を持って家を出ます。
新しくいらっしゃる方は、居合刀と鞘木刀はお持ちとのことです。
ただ、居合刀は無双神伝英信流の稽古には短すぎるものでしょうし、
大石神影流の長い木刀は当然お持ちではありません。

 

小学校の校門に「貫汪館 横浜支部」のカードをぶら下げます。
稽古中アピールです。A4で作成しました。カードケース入りです。
門の鍵を開けて、体育館の鍵を開けて、明かりをつけて、刀の準備など。
全灯するのに時間がかかる天井の照明がすっかり明るくなったころ、
新しい方がいらっしゃいました。
暗い夜道で心配していましたが、幸い、道には迷わずに来れたとのこと。
ご挨拶して、上座下座と荷物を置く場所など説明。
モップ掛けは、二人だと早いこと早いこと。

 

着付けは前回講習会の際に説明したとおり、帯はゆるめに、袴紐は普通に。
着付けは、夏で薄着のときと、冬で厚着のときではだいぶ異なります。
下に一枚多く着るだけでも、襟の合わせや帯の位置は変わるものです。
襦袢の下にシャツを着て、下はスパッツを穿いたりするとモコモコになります。
帯の結ぶ場所がいつもとずれると、なんだかしっくりきません。

結び直すこともしばしばです。

 

居合の稽古では、とくに準備運動などはしません。
道場によっては最初に散々素振りをやって、汗をかいて腕をパンパンにしてから稽古を始めるようですが、貫汪館とは無縁の稽古方法かと思います。
貫汪館では、最初に歩法と斬撃の稽古もしますが、準備体操の代わりではありません。

柔術では準備体操と受身の練習をしますが、往時はしなかったとのこと。
準備運動が必要か確認して、現在のケガの有無を確認して、過去のケガの確認をして、けっきょく準備運動はしないことにしました。

無事に準備が整い、定刻より1~2分ほど早く稽古を開始しました。
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まずは、大石神影流の試合口から。
前回の講習会で稽古しました。
1月の講習会に参加されるとのことですので、それに備えておさらいです。

 

最初に仕太刀をしていただきました。
打太刀をしながら口頭で動作の説明をして、やっていただきます。
試合口は動作自体は単純ですからするっと行くかと思ったら案外そうでもなく。
やっぱり最初は難しいものです。
けっきょく交代して、仕太刀をやってみせました。
上位者に直接相手してもらえるのはとても良い稽古になると思います。

ただ、手順や動作をよく覚えていない状態では逆にわかりにくいかもしれません。
手順を覚えるだけなら、傍から見ていた方がわかりやすいものです。
二人だとそれができないのが残念ですが、それはまあ贅沢ということで。

 

そして、請ける動きもそうですが、張る動きがなかなかわからないようです。

どうしても、払う(押さえる)動きになってしまいます。剣先が外れてしまう。
動作そのものが難しいというよりは、理解度の問題でしょう。
自分の中に存在しない価値観は、理解ができないものです。
こればかりは、ご自身に理解していただくしかありません。
逆に言えば、理解さえできてしまえば、動作自体は簡単なものです。
時間が掛かるか、その瞬間にできてしまうか。回数の問題ではありません。
できない人は、何年経ってもできないまま。これは、心の問題かと思います。
流派の掟よりも、自我が大事な人。変えようとしない人。

自己のまま。我がまま。それでは、修業になりようはずがありません。自戒

 

二三回繰り返して、次の業へ。
そのうちなんとなく調子をつかんできたようです。
なんとか五本を終えることができました。
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続いて、無双神伝英信流の稽古に入ります。

 

太刀打
同じようにこちらが打太刀をしながら口頭で説明して仕太刀をやってもらい、交代して、仕太刀をやってみせます。
#ところで、太刀打の打太刀って紛らわしいですよね。

 もしミスタイプがあったら、生暖かい目でスルーしておいてください。

 

一本目二本目は、形だけはとりあえずなんとか。
三本目以降も、ぎこちないながらもなんとか続けます。
交代して仕太刀をやってみせると、やはり感じるところがあるようです。
(ないと困りますが。)

 

ただ、説明をしていて、どうもディスコミュニケーションを感じます。
確認すると、単語の意味がわからないと。あらまあ。
簡単に説明しました。
・便宜上、打太刀仕太刀と説明するけれど、本当は遣い方と相手
・上段と八相ではなく、高山と肩
・相懸かりと待つ
・打太刀が先に打ち込んで、仕太刀がそれに応じて勝つ、という構成ではない。
・あくまで主体は遣い方であること(だけど本当は、ごにょごにょ)
などなど。
なんとか十本目まで。

 

詰合
講習会で、英信流の座法をお伝えしました。
あれから座ってみましたかとお聞きすると、少しと。
座っていただくと、だいぶサマになっていました。気になる点を修正します。

 

前回はとにかく立膝からまともに動くことができませんでした。
今回はまず、横雲を抜いてもらいました。気になる点を修正。
続いて、虎一足。まず足先を開いてから、腰を上げています。
そんなヒマあるかなー。などと思いながら指摘しますがこれはなかなか。
張り受けに刀勢がないのは、形を作ろうとしているからでしょうか。
脛囲い、受け留めではなく、張り受けです。実際にやって見せます。
腕先ではなく、体の開閉で、相手の刀を張り受けする。
そして張り受けと振りかぶり、斬撃は一つの動作です。一連の流れが大事。
結果的に早くも速くもなりますが、即物的なスピードではありません。
稲妻。無双神伝英信流抜刀兵法では、抜き付けの部位を特定しません。
どこに抜き付けるかは、そのときの状況次第です。

 

抱きかかえるように鞘かかり、転がるように柄手が掛かり、
体の開閉で鞘引きして、そのままぽろんと右足が出て離れ。
肚から進みながら膝を送って切っ先から振りかぶり、下ろす。肚を中心に。
開いて納刀し、元のように座す。
するりと立ち上がり、元の位置に戻る。
初発刀よりも、横雲の方が稽古には向いているような気がします。
英信流の表一本目です。初発刀の方が難しく感じます。

 

なんとか動けることを確認して、詰合に入ります。
詰めて座すのにまだ抵抗があるようで、どうしても遠くなりがちです
柄頭が触れるくらいの距離です。

 

一本目、二本目と続けます。なんとか最後まで。
動きはまだまだですが、きちんと理解しようとする姿勢を感じます。
きっとすぐに上達することと思います。

 

業をどんどん進めるか、礼法からやるか、どちらがいいですかと確認します。
いまさらじろう。
もちろんやはり礼法から、とのお答え。安心しました。
さっそく礼法から。すっかり順番が逆になってしまいました。
予定では、試合口と太刀打詰合は仕太刀だけやってもらってさらっと流して、礼法からみっちり稽古するつもりだったのです。

ちょっと時間配分が甘かったです。反省

 

礼法から。
その前に立ち方から。そけい部を弛める。
言われて腰を落としますが、太股はパンパンに緊張しています。
違うんだけどなーと思いながら、自分のことを思い出します。まあ追々。
 立ち礼
 座り方
 座礼
 立ち上がり方
何度か繰り返しました。

 

正座から初発刀。示範して、やってもらいます。
二尺六寸の居合刀をお貸ししましたが、問題なく抜けました。
身長がありますので、いずれは二尺八寸、三尺くらいは抜いてもらいたいと思います。
今回は時間がなくて、三本だけ。

 

残念ながら、本日はこれまで。
終わって、用意しておいたノートをお渡ししました。稽古の記録用です。
とくに読み返す必要ももちろん公開する必要もありませんが、
書くことで記憶の整理ができます。
そして、短期記憶が消えてしまう前に一度思い出すという行為は、
学習にはとても効率的なことかと思います。
思い出すだけでも構わないのですが、なんらかの媒体があると効果的です。
紙でも電子でも。
毎日稽古しているようなら、とくに必要ないものではありますが。

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今回、私がとても勉強になったのは、
 打太刀だと、仕太刀の非がよく見える、
ということです。
ああこれがいつも自分が言われていることかと。
考えてみれば、貫汪館の稽古では下位の方と組むことがありません。
皆さん、体の遣い方ができている方ばかりです。
自分もこういう風に見られていたんだなーと実感しました。

そして一回ではなかなか直らず、何度も繰り返し同じ指摘をしますが、
これも自分の通ってきた道だなーと感慨もひとしおでした。

 

もう一つは、やりながら言葉で説明すると、とても混乱する、ということです。
太刀打も詰合も打太刀も仕太刀も考えなしに動けるのですが、
いざ打太刀をしながら仕太刀の説明となると、言葉がなかなか出てこず。
そして言葉が出てくると、体が動かなくなってしまいます。
頭の使う場所が違うのかなーなどと感じました。まだまだ未熟です。

 

そして最後に、お教えしていると、とっても寒い、ということです。
一緒に動いている間は問題なかったのですが。
次回は、時間配分とともに工夫しようと思います。

 

次回、また楽しみです。

H25.12.17