貫汪館 昇段審査会 1/2

貫汪館本部道場において、無雙神傳英信流抜刀兵法、大石神影流剱術、澁川一流柔術の昇段審査会がありました。

 

場所は廿日市市立大野体育館の格技場です。
1階はアリーナになっており、バレーボールやバドミントンができます。
2階は格技場で、柔道場と剣道場が半面ずつ、板の間と畳の常設となっています。
当日は他の利用者の姿はほとんど見られず、集中して審査を受けることができました。

 

貫汪館の教えで、当日の会場では稽古をしてはいけないことになっています。
受付をしたあとは、各自、静かに開始時間を待ちます。

開会式では、開会の辞、館長と顧問の先生から挨拶、審査上の注意がありました。

午前は無双神伝英信流抜刀兵法と大石神影流剣術の実技審査を行い、昼食休憩のあと、午後は澁川一流柔術の実技審査を行ないました。

閉会式では、顧問の先生と館長から講評をいただき、結果発表のあと、閉会の辞で終了となりました。

いずれもとてもスムーズな進行で、予定より大幅に早く終了となりました。

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閉会式では顧問の先生から、
「もっと肚を落とすといい。ボーリングの球を飲み込んだつもりでやるといい」
「館長を越えるくらいのつもりで稽古をするように」
「稽古には常に疑問と工夫を忘れないように」
とのとても具体的でわかりやすいアドバイスと激励をいただきました。

 

館長からは顧問の先生のお言葉を受けて、
「いま見えているところを目標にしてはいけない。

  理想として求めているところを求めるように」
とのお言葉をいただきました。

 

続く合格発表では合格者の氏名が読み上げられましたが、
「合格に安心するのではなく、今後ますますきちんと稽古するように」

とのお言葉をいただきました。

 

私自身は、無双神伝英信流抜刀兵法と大石神影流剣術の審査に合格をさせていただくことができましたが、満足のできる内容とは程遠く、いただいたアドバイスを元に今後もさらなる精進をしなければと決意をあらたにいたしました。

 

当日の進行に携わっていただきました皆様には、この場をお借りしてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

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大野体育館は山陽新幹線の線路のすぐそばです。
審査中も、新幹線がゴーゴーと音を立てて行き交います。
新幹線は夢の超特急で1時間に1本というのはいつの世の話やら、10分おきに運行です。
新幹線の名称は、こだま(音)ひかり(光)のぞみ(心)とだんだん速くなりました。
次の新幹線はリニアだそうですが、名称は何になるのでしょうか。

 

当日は暑く、窓を開けて大型の扇風機を二台稼動しましたが、動くと汗が出ます。

私は審査第一組目でした。
貫汪館では、当日の会場では稽古をしてはいけないことになっています。
朝一番で、いきなり抜きます。
緊張するなあと思いましたが、そういえば自分は毎朝スーツでズボンのベルトに刀を差して、 五本抜いてから出勤しているのでした。あまりいつもと変わらない。
ちなみに五本は、初発刀、横雲、向拂、四角、抜打です。お気に入り

大森流と英信流表を続けて抜きました。
汗がダラダラと流れ落ちますが、懐中の手拭いは使わず、袖で拭うこともせず。
視界がふさがれている間に、敵に襲われてはいけません。
やっぱり鉢巻をするべきだったでしょうか。

 

三人で抜きましたが、各自のペースで抜きます。
先に抜き終わった人から、静かに退場します。号令はありません。
入場の際に氏名の読み上げはありましたが、はじめの号令もありません。
刃音を競うようなこともしませんし、やたらと床を踏み込むようなこともしません。
横を見なければ、三人で一緒に抜いていることも忘れてしまうくらい。
しずしず、しゅくしゅくと進んでいきます。
正面が審査員席ですから、正面へ礼をしたあとは右斜め前に向いて抜くだけです。
開始線もありませんし、コートの線もありません。
何分以上何分未満という時間の決まりもありません。
入場退場の位置の厳格な指定もありません。
すべて常に各自臨機応変の対応です。
貫汪館らしくていいなあと思います。

 

今年、貫汪館は一気に組織化を推し進めました。
規模が大きくなれば組織化が進むのは当然のことです。
ですが組織化が進むと、固定化・画一化されやすくなります。それは避けたい。
自由な連盟がいいと、館長はおっしゃっています。
合理化・最適化は私の望むところです。でも、変化・自由がないところに発展はない。
固定化・画一化からは、あるいは違う意味での発展もあるのかもしれません。
でも果たしてそれは、武術武道と言えるのでしょうか。
その場その場での自由な対応が、貫汪館の業の理念の基本かと思います。

 

業を間違えたりするようなことはありませんでしたが、下げ緒に少し手間取ってしまいました。
退場して、刀の手入れをします。次の方の演武を拝見したかったのですが、手入れを後回しにして刀に錆が生じるのは避けたいです。


第二組目の方も大森流と英信流表を抜きます。

 

第三組目の方は大森流のみです。

 

第四組目で太刀打です。仕太刀を指示されました。鞘木刀を準備します。

相手の方と合わせたのはいつが最後だったか。7月の合宿以来でしょうか。

と言うか、そもそも数えるほどしか合わせたことはありません。

稽古相手はいつも違います。

出合はなんとか。でも打ち込みが少し遠かった。踏み込みが浅かったか。
附入はなんだか少しテンパリました。
請流、請入、月影、水月刀、独妙剣までなんとか。打太刀がいいので助かります。
絶妙剣。苦手な業でした。というか、できない業でした。昨日まで。
十字に受けてから、体を外して斬り込む。これができない。
腕で剣を動かして、体をねじって一歩踏み込んで斬り込む。それならできます。
でもそれではダメです。それでは業ではない。
形だけなら、素人の方でも一回見れば真似をできます。
なによりつらかったのは、館長の説明が理解できないこと。

私は日本語なら理解できます。
でも言っていることはわかっても、それが何を意味するのか理解できない。

体感ができない。だから、再現ができない。
たとえどんなに浅い理解でも、理解さえできれば、下手は下手なりに動くことはできます。でもそれができない。

まったくなにをどうすればいいのかわからずお手上げでした。
館長に横浜にお越しいただいたときにもわからず。

何度も手ずから教えていただいたのですが。
でも昨日の稽古でぴかっときました。えうれか。

ああ、なん今までわからなかったのだろうか。
それは稽古で、別の方と一緒に説明を聞いているときでした。
自分が説明をされているとなかなかわからず、人が指導されているのを聞くとわかるというのは よくあることです。岡目八目とか言います。

と言いながら、自分でわかったできていると錯覚しているだけかもしれません。
はいできました。それでいいです。と言われてよろこんでいると、次でまたダメ出し

というのはよくあることです。
でもそれは、できるようになったことがまたできなくなったのではなくて、要求されるレベルがさらに高くなったからだ、ということもあるようです。
神妙剣。抜き請けの体の開きに留意します。刀には威がないといけない。

でも刀と刀がガツンと ぶつかるようではいけない。

ふっと相手の体勢が崩れるようにしたい。
打込。遣方より請て打込み勝也。単純で、とても難しい業です。

 

退場して、第五組目の詰合を拝見します。

 

入場して、第六組目で詰合です。これも仕太刀を指示されました。
発早、拳取、岩波、八重垣、鱗返、位弛、燕返、眼関落、水月、霞剣

流れで一気に。
最後に打込。太刀打の同名の業よりも、さらに単純で難しい業です。
約束で合わせるだけならどの業よりも簡単ですが。いわく、これは形ではないと。

 

続いて、第七組目で大小詰です。
自分が仕太刀なのに、刀を外してしまいました。また帯刀します。
抱詰、骨防返、柄留、小手留、胸留、右伏、左伏、山影詰
一本目は上手にできたような気がします。打太刀の方が気を遣ってくれたのでしょうか。調子に乗って、流れで一気に最後まで。
腰を伸ばして踏ん張って腕の力で倒す、というようなことがないよう気をつけます。
そけい部は常に弛み、中途半端な姿勢のままするすると動く。

リニアモーターカーのように。

 

そのまま打太刀と仕太刀を交代します。
そういえば相手の方とは、打太刀をしたことがないような気がします。
業そのものには問題ありませんでしたが、業と業のつなぎに気を遣いました。
最初は少しぎくしゃくしましたが、そのうちなんとか。

気付けばこれで、無双神伝英信流抜刀兵法の審査は終わりです。

 

息をつく暇もなく、大石神影流剣術の審査に入ります。
あ、5分くらい休憩があったかもしれません。

H25.9.18